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不浄エリアとお仕置き

 迷宮区へボアが住み着いてまだ11日しか経っていないが、ボアの存在が土地に与える影響は大きい様だ

 土地神であるダイアナ達の助力があるとはいえ、既にこの辺り一帯は滞在するだけで生命力を奪われる不浄エリアと化している


 まだこのエリアにはモンスターは殆ど居ないが既に作ってあるランク1スポナーを移動させ配置、一度でも変異種が生まれたら別のスポナーと交換という感じに生み出せる変異種の種類を増やす努力はしている


 変異種以外が生まれるとボアとエリア効果によるライフドレインに耐えられず死んでしまうのがかわいそうではあるが、必要な犠牲だと思いたい


 ちなみに生まれた変異種はライフドレインに耐性があるのでボアが一種一体ずつペット代わりに育てている。きっとボアもここで一人でいるのは寂しいのだろう


 将来的には迷宮区を変異種で満たしダンジョン内バトルをしてレベルとランクを上げていきたいが今は他に色々とする事があるのでなかなかこっちまで手が回らない

 変異種スポナーを作るのはしばらく後の事になりそうだ。まじDP足りん・・・


 迷宮区は淀んだ空気に恐らく30℃はあるだろう少し蒸し暑い気温、生えている植物に壁や天井の色彩や触った感触まであらゆる物が口の字部分とはあり様が違う


 その変貌ぶりを興味深く観察しながら歩いていると淀んだ空気の向こう側から声が聞こえて来る

 声の主は言うまでも無くここ迷宮区の主ボアだ。周囲には変異種7体が付き従っている


「誰かと思えばマスターか? 先程侵入者が入って来たようだが出歩いていて平気なのか?」


 ボアの言う侵入者とは勿論ノエルの事だろう


 なぜ迷宮区にいるボアがノエルの侵入に気付けたかだが、ボアはダンジョン内貨幣を使って例の『ダンジョンに侵入者が現れました』というアナウンスを聞ける権利を買ったらしい

 ダンジョン内貨幣ではアイテム図鑑にある物のコピーやスキルの習得だけでなく、こうしたダンジョン内の権利も買う事が出来るのだ

 

「ああ、その侵入者は知り合いだからな。ほら、そこにいるだろ?」


 俺はノエルを指さす。ノエルはまだ迷宮区の様子に興味津々の様だが、こっちに気が付くと一旦観察を切り上げ走り寄って来る


「初めまして、お邪魔してます! 私はノエルって言います! マスターさんの友達です! よろしくお願いします!」

 

「俺はボアと言う。見ても分からないかもしれないがアンデッドだ。よろしく頼む」


 ノエルのやたら元気な挨拶にたじろがず普通に挨拶を返せるボアは凄いと思う。っと!あぶね~!

 

「あっ! 避けた!」


「ふふ、何度も同じ攻撃を喰らうと思うなよ!」


 俺はノエルのローキックを回避し逃走する


「むむむ・・・いじわる言っといて逃げるとは卑怯な・・・あっ、すいません。そういう事ですので追いかけます! ではまた!」


「お、おう・・・」


 俺を追い走り出すノエルに取り残されるボア。ボアは少し残念そうな顔をしている。普段ここから出られずボッチだから話し相手に飢えてるのかな? たまに来た客人がすぐに去るのはつらい物があったのかもしれない

 悪い事しちゃったな、みんなにもたまには顔を出す様に言っておくとしよう


「先程のマスターの演説や眷属達の誓いについて語りたかったのだがな・・・。まあまたの機会にするとするか・・・」


 ボアのボヤキが聞こえて来る。うう、ホントすまん・・・いつか埋め合わせはするからな


「ぜえ、ぜえ・・・」


 それにしてもじっとしてるとそれ程でもないが、こうして走ったりすると急速に体力が奪われていくな・・・まだ100メートルも走ってないのに結構きつい、ぐお! もう追い付いて来たか!


「捕まえました! 悪口言ったから仕返しです! えい!」


 ノエルは後ろから俺の腹に抱き着きそのまま締め上げて来る。背中に微妙に膨らんだ柔らかい物が当たるがそれどころではない。まじ苦しいしあばらがやばい!


「ま、待て! 息が出来ん! あばら折れる・・・」


「ダメですー。卑怯者にはお仕置きです!」


「ぐは~! やめろ~! 死ぬって! ここライフドレインもあるんだからマジ死ぬって!」


「そんなのには騙されません! ライフドレインへの耐性が高くなってるのは見れば分かりますよ! えいえい!」


 前回死に際に喰らったせいかライフドレインへの耐性はかなり上がってるのを見抜かれていた様だ

 ドンドン締め上げがきつくなっていく。やべ、内臓出そう・・・









 

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