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久しぶり

 そういやゴリは壁にめり込んだまま出てこなかったな。大丈夫なんだろうか?

 少し気になったので聴覚に意識を集中しコアルームの音声を拾ってみる


「ゴリさん、大丈夫ですか?」


 これはユズの声だな。どうやらゴリを介抱してるみたいだ


「はあ、はあ・・・ああ、大丈夫だ。はあ、はあ・・・ノエルたんの拳、はあ、はあ・・・フフフ」


 ・・・心配して損した! 何ハアハアしとんねん! 変態か! 俺はムカッと来て音声を拾うのをやめた


「どうしました?」


「い、いや・・・何でもない」


 今ノエルと2人で口の字 ̄部分を歩いている

 ノエルが出て行ってから戻って来るまで約一か月、正確には24日の間にダンジョンがどれだけ成長したのかを見てもらう為だ


 この ̄部分も当時は横幅20メートル、高さ10メートル、長さ1キロだったのが今では横幅737メートル、高さ20メートル(一部200メートル)、長さ一キロだ

 長さは変わっていないが横幅と高さの拡張はかなり進んでおり、これにはノエルも驚きを隠せない様だ

 その様子を見て俺も頑張った甲斐があったな~とまんざらでも無かったりする


「広さもそうですが、モンスターもすごく強くなってますね~!」

 

「そうだろ、お前が居た頃は野生のモンスターはランク1しか居なかったからな」


 そう思うと強くなったもんだなと我ながら思う


「あ、川も作ったんですね! 川は作るの難しいから自力では無理だと思ってたのにやりますね!」


 ノエルは川へ向かって走って行く。確かに作るのは苦労したのでそう言ってもらえると嬉しいね


 「へ~、よく出来てますね! 水着持ってくれば良かったかな?」


 ノエルはそう言って川の水をチャプチャプと少し触った後、30メートルはある川を軽く飛び越えた。やっぱこいつも人外だよな・・・


 ノエルは飛び越えた先で待っているが俺は当然飛べないし、川の深さも1.5メートルはあるのでどぶって行く気にもなれない。仕方なく壁際の段差内部から迂回していく事にする


「あれ? そっちも道あるんですか? 凝ってますね」


「ああ、ここは殆ど眷属が作ってくれたんだけどな」


 現在 ̄部分の真ん中には通路を東西に分ける様に川が通っているがこれを渡る橋はついていないので東西の行き来は北側壁際の段差内部の滝の裏から行くのが俺的には正規ルートだ

 ノエルは俺が出て来た穴を覗いて興味深そうにしている


「なんか探検心をくすぐりますね」


「だろ? でもこっちは完成するまで見に来ないで欲しいって言われてるから探検するのはまた今度な」


 前回は途中で見に行ってガッカリされちゃったからな。見に行きたい気持ちはあるが眷属たちも俺を驚かせたいのだろうし、ここは完成まで待ってやるのが優しさという物だろう


「そういう事なら仕方がありませんね。では先へ行きましょうか」


 口ではそう言いつつもノエルはウズウズしている様だ。分かりやすい奴だ、でも今回は我慢してもらおう。なんて思ってると足に激痛が走った


「おまっ!だからローキック、まじ痛いってそれ・・・」


「ウズウズなんかしてません! まったくもう! すぐそういう事言うんだから!」


 痛いけど何だか笑いがこぼれて来る、このやり取りも久しぶりだな

 ノエルはプンプンしながら歩いて行く。俺は痛む足を引きずりながらその背を追った


 それからはダンジョンを歩きながら今まであった事を話した

 ノエルが出て行ってすぐランク2モンスターが生まれた事

 植物モンスターが強くなりすぎたのでバランスを取る為に象を召喚した事

 その象とアリスの戦いの話

 ゴリ達と出会った日の話

 ユウやアイとの出会いと銀色のハイエナとの戦い

 巨人に進化したアーサーがノエルに気付いてもらえるのか不安そうにしてた事

 川や果樹園を作った話

 コアルームのランクアップをして予期せぬお得アイテムが手に入って嬉しかった事

 ヒミカ達の話



 ノエルは興味深そうに話を聞いてくれている


「なるほど、やけに成長していると思ったらそんな方法(落とし穴ハメの事)でレベル上げをしてたんですね~。実は内心驚いてたんですよ。予想よりも遥かに成長してたから」


「ま、まああのやり方は倫理的に問題あると思うんだよな、経験値はおいしいけど

あの時はユウやアイの事でちょっと頭に来てたというか冷静じゃなかったからな。そこは見損なわないで欲しいかな・・・」


 あれを嬉々としてやっていたとは思われたくない。今後も余程むかつく奴以外にはやらないつもりだ


「う~ん、そこは気にしなくていいと思いますけどね。非は攻め込んできてる相手にある訳だし、むしろ強くなり生き残る為には多少の非情さは必要ですよ」


「そう言ってくれるとありがたいよ」


 そこまで話し終えた所で口の字の左下の隠し扉を抜けて迷宮区へ入った

 迷宮区へ入るとそこは口の字部分とはまるで別空間だった。空気は淀み、そこに居るだけで体力を奪われる息苦しさ。例えるならタバコの臭いが充満した喫煙室が近いだろうか


 なるほど、これはユズが不浄地帯と呼ぶだけの事はある・・・



 

  



 



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