ぎゃふんと言わせてやる
「パソコンの出所についてはスルーしてくれるとありがたいです。で、使い方ですがまずパソコンの端子をオリハルコン鋳型に繋げます」
めっちゃ気になるが今は説明に集中する事にする
見ればオリハルコン鋳型には端子を繋げる為の電子部品が取り付けられている様だ
「端子を繋いだらパソコンを立ち上げ、鋳型操作ソフトを使って操作していきます
ちなみにこのノートパソコンにはこれ以外のソフトは何も入っていませんので今の所ただの箱に近いです
ダンジョンネットを繋げれば色々機能を拡張できるので先の話になると思いますが試してみてください」
「あ、ああ。と言うかくれるの? いいのか? そんな安い物でも無いんだろ?」
「いいですよー! どうせこの世界に滞在中はダンジョン以外で使えないですからね~! ここに置いておいた方が共用で使えてむしろお得ってなもんです」
なんかさっきからポツポツ気になるワードが出て来るな・・・
「それもスルーしてもらえるとありがたいです。それでこの操作ソフトですが、どの様に使うのか今から実際に操作してみるので見ていてください
このソフトは自分で1から型を作る事も出来ますが、今回は既にインプットされている型を使ってみますね
まずデータフォルダをクリックします」
フォルダをクリックすると剣、槍、斧など様々な型が表示される。その数、数百種類はあるか? 把握するだけでも大変だなこれは
「鎧なんかもあるんだな」
「そうですね。ですが全身金属鎧だと思ってる以上に動きにくいので、私としてはベースは皮鎧や繊維で覆って金属製品の肩当てや胸当てで補強するといった方法がお勧めです」
「なるほど、パーツ別でも作れるんだな」
「はい。サイズ調整も可能なので巨人用や妖精用の装備も作る事が可能です」
マニアックなのだと四足歩行の獣用の装備等もある様だ。これはまじで便利だな
ノエルが操作すると鋳型は自在に形や大きさを変えていく。まじファンタジーすげえ! と俺が驚いているとその様子を見て嬉しくなったのかノエルはますますテンションを上げていく
「刃物型の武器は型を取るだけでは不十分なので作った後に研ぐ必要があります。というか使用する度に研ぎ直した方がいいです。その時にはこれを使います。あれでもないこれでもない、以下略! ジャーン! 砥石セット~!」
もうあれ言うのめんどくなったっぽいな
サンダーなどのグラインダーと砥石がばら撒かれる。これも鑑定してみると結構なオーバーテクノロジーで作られている様だ
「主なのはグラインダー用の砥石ですが、一応手作業用のも幾つか持って来ました。砥石の素材はアダマンタイトで粒度も荒砥石、中砥石、仕上砥石と揃えてあるので用途に応じて使い分けてください。アダマンタイトの特徴としては~・・・」
なんか専門的な話が始まり付いていけなくなったのでドワーフたちに丸投げして離脱。ノエルはもう止まらない状態になっている。ああなると厄介なんだよね
一息つきつつノエルの様子を見守っていると今度は座敷童(裁縫スキルを持つ眷属)たちを捕まえて裁縫に使う道具の説明に入った様だ
ドンドンとまた機材を取り出していく。う~ん、置き場や作業場も考えなきゃいけないな~
ノエルに頼んでいたのは鍛冶や裁縫、革細工に使う道具だったと思う。だいぶ前の事なので記憶が曖昧だが・・・
裁縫の次は革細工の道具も出し終えてこれで頼んでいた物は全て出揃ったように思う
「これで頼まれていた物は以上となります。後は私が勝手に持って来た物になりますが・・・
ここでは少し狭いので広い場所があるのなら移動しませんか? ここへ来るのもしばらくぶりになりますし、少しは広くなったんですよね?」
ノエルはそう言ってふふんと挑発的な笑みを浮かべる
むむっ! こいつ侵入してからここに現れるまでやけに早かったけど、入り口から一直線にここへ来てダンジョンの様子を少しも見てないのか? (演説時、移動を容易にする為に入り口前の一通の扉は開放状態だった)
ふふっ、それならこれは驚かすチャンスかもな
今まで頑張って来たし、ハイエナ達との戦いもあった。ダンジョンの成長ぶりはノエルの予想を超えているという自信はある
「へー! それは楽しみですね~! そうだ! どうせなら入り口から全部回りましょうか? あれからどれだけ成長したのか見てみたいですし!」
「いいだろう! ぎゃふんと言わせてやるぜ!」
「ぎゃふん」
「むぐぐ・・・」
「アハハ! さあ行きましょうか!」
後の事はゴブ太たちに任せ俺とノエルはコアルームを後にする




