魔法少女リント
「いやいや、流石におかしいだろ! 99とかどうやって上げたんだよ!」
「信じられないのも無理はありませんが事実です。ちなみに私の場合は地獄で上げました。あ、比喩では無く天国地獄のあの地獄です。私は地獄出身ですので」
いや、意味わからん・・・
「ま、まあ私の話はどうでもいいですね! 他の方がどうやって至ったのかは私も知りませんが普通の手段では不可能だと思います。そういう意味ではおかしいっていうのはその通りだと思います」
どう考えてもおかしいとかそんなレベルじゃないと思うんだが・・・
一体どうすればそんなのに対抗できるというのか・・・
『マスター、侵入者が来た様です』
『ぬ? 分かった。すぐに戻る』
まだ頭が混乱している所だが監視カメラ係のセイレーンが侵入者の接近を知らせて来たのでそちらに意識を集中する。
「すまんユズ、侵入者が来たみたいだ。ちょっと行って来る」
「ああ、多分リントちゃんですね。今日来るって行ってましたから。私も行きますよ」
どうやら知り合いらしい。そういや一人遅れて来るって言ってたっけか。
監視カメラを見てみると三角帽子に真っ黒フード付きローブというエフ〇フの黒魔導士の様な格好をした少女が映っている。
真っ赤な髪といい物凄くファンタジーっぽいな。
少女はその幼く可愛らしい容姿も相まって入り口に張っているハンターたちに呼び止められているが、あっさり振り切り侵入してくる。
見かけによらずなかなか豪胆な性格をしている様だ。
「らんらんら~♪ らんらんら~♪ らんらら らんら らんら らんら~♪」
というか緊張感のカケラもないな。めっちゃ歌ってるし。
普通ダンジョンじゃなくても知らない場所に一人で訪れるっていうのはそれなりに緊張すると思うんだがな。
・・・それで思い出したがオッサとクロ居ないな。あの子を迎えに行ったんじゃなかったのか?
「たぶんそれは建前ですね~。あの場から逃げ出したかっただけだと思いますよ」
はあ、っとため息とともにユズがそう答えてくれる。ヒミカ達どんだけ嫌われとるねん・・・
『ダンジョンに侵入者が現れました』
とここでやっとダンジョン内に少女は到着する。
うん、監視カメラ役が居るといい感じだね。今までならこの時点で初めて侵入者の存在に気付いてたからな。
ほんの数分程度の違いだが、この差は結構大きいと俺は思う。
あの3人の様なのは例外だが、普通はこんな感じで結構役に立つよな監視カメラ。
既に入り口付近のモンスターは退避させ、監視カメラ役を通じてヒミカ達やゴリにも連絡をしてある。
今回は身内だけで話をつけてもらう予定で俺はコアルームへ退避中だ。
ユウやゴブ太にエアも寝てるのでせめて起きるまでは接触するのは避けたい。後で怒られそうだしな。
「あ、リントちゃんお疲れっす」
「ふふ、来るの遅いからランク追い付いちゃいましたよ!」
「俺も追い付いた」
連絡を受けて駆け付けたヒミカ達がリントを迎える。
ヒミカ達はとても嬉しそうな顔でそう報告するがリントはそれを聞いて途端に不機嫌そうな顔に変わる。
「なに~! どんなトリックを使ったんだお前ら! くっ! まさかこんなに早く3バカに追い付かれるとは・・・」
ガーン! という効果音が聞こえてきそうな表情で驚き、その後四つん這いになるオーバーリアクションを見せるリント。
なかなか見ていて飽きないキャラの様だね。
ヒミカ達はここ10日の修行で3人共ランク3に到達している。
普通は何年も掛かるという話なのでリントが驚くのも無理はない事だろう。
「怠けてるからそういう事になる。というか才能はピカイチなのにそれを磨こうとは考えんのか?お前は」
リントの三角帽子をポンポンと叩きながらゴリがそう説教する。
ゴリもここ10日でだいぶ精神は安定した様で何よりだ。
「頑張るのめんどくさい。でも3バカに負けるのはムカつくから少しだけ本気出す。ふんっ、すぐに引き離してやるわ! 雑魚ども! 見とけよ!」
「負けないっすよー!」
「うっさい! お前らは付いてくんな!」
こうしてダンジョン修行組にうるさいのが一人追加された。




