警備員とヴァンパイア
コアルームへ戻ってきた俺はとりあえず先にダンジョン内での用事を済ませておく事にした
というのは情けない話だが少しショックを受けてしまいユズの話の続きを聞く前に心の準備をする時間が欲しかったのだ
用事とは前々から思っていたコアルームのカメラ監視用のモンスターの配置である
出来ればスポナーの操作なんかも任せたいと思っているポジションだ
これにはバンシーから進化したセイレーンやローレライが適任であると考えている
緊急時には音魔法で俺も含めたみんなと連絡が取れるからだ
しかし現状ではセイレーン1のローレライ1で合わせて2体しか居ないのでどうしようか悩むところだ
それに勤務時間の問題もある
侵入者はいつ攻め込んでくるか分からないので監視するこちらも24時間体制にしておきたい
となると8時間×3、いや、6時間勤務にしとくか
6時間×4で一日最低でも4人
一人じゃずっと監視は厳しいし、休憩や休日も与えてやりたいからローテーションで回すとして3倍の12人は定員が欲しい所か
2~3人で勤務する形だ。まあ言っちゃなんだが暇なポジションだろうし退屈を凌ぐ為にも人数は居た方がいいだろう
この12人のうち半数の6名は純血ヴァンパイアにやってもらおうと思っている
こいつらはウェアウルフから進化した個体で当初の予想通り進化する事で知能が発達しこの度見事に人型の仲間入りを果たした者たちである
夜行性で夜勤は苦としないし、スキルレベルは本人の半分だが血を吸った者に変身する事でその者が持っているスキルを使用可能という能力を持っている
セイレーンの血を吸う事で(ローレライには断られた)音魔法は使用可能になるので監視カメラ用のモンスターとしては申し分ないだろう
ちなみに血を吸うか肉を喰う事で腹を満たせるがどちらもダンジョン内貨幣で取り寄せ可能であるので仕事さえしていればもう狩りはしなくても大丈夫との事だ
残り6人のうちの2人は今いるローレライとセイレーンに、足りない4人はセイレーンを召喚する事で補おうと思う
ランク4モンスター:セイレーン4体召喚。1500×4の6000DP消費
残り103000DP
ローレライ召喚は一体5000DPだったので少しケチらせてもらってセイレーンにしておいた
戦闘力はあまり必要ないポジションだし、今は少し温存しておきたいからな・・・
ランクが高いモンスターをいきなり召喚すると低レベルから成長した者より弱いという話を前にローレライから聞いたがこれはレベルアップ時に生じるステータスの上昇が大きい為である
しかしアーサー曰くレベルアップよりは緩やかだがステータスの上昇は自己鍛錬でも行われるので長い目で見ればステータス値は種族が同じなら同じくらいに落ち着くそうだ
まあ人間でもそうだが器が同じとは言ってもそれを限界まで満たせるかというとなかなか難しいし気の長い話になるだろう
今生まれたセイレーンたちは力という意味においては初期に生まれたものと比べハンデを背負って生まれた事に間違いはない
そのハンデを埋めるための何か、例えばコアルームにトレーニング機器を置くなどしてハンデを埋めるだけの環境を作ってやりたい所だ
スキルなんかはローレライに教えてもらうのもいいだろう
夜間の部18時~0時と0時~6時はヴァンパイアに
昼間の部6時~12時と12時~18時はローレライやセイレーンに任せる事にする
あとはついでにスポナーの管理権限を渡し操作の方法を教えておく
とは言ってもこっちは現状ほとんど操作の必要はなく、する事といえばヒミカ達のレベル上げ時に操作する程度だ
「てな訳でスポナーを操作して欲しかったらその部屋にあるカメラの前で言ってくれ」
「了解っす!」
スポナー部屋でレベル上げの最中であるヒミカは元気に返事をする
はあ、とりあえずこんな所でいいかね
はあ、やだなあ。話の続き聞くの・・・
俺はため息をつきつつユズの話の続きを聞くことにする




