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自由な奴ら

ヒミカ達に会う為に転移魔法陣で入り口へ飛ぶ

勿論ゴブ太やエア、ゴリ達も一緒だ

一応用心の為に俺たちはゴリの後ろ、少し離れた位置へ陣取らせてもらう


俺自身の安全もそうだが、ゴブ太とエアはモンスターなのでいきなり攻撃されないとも限らない

用心に越した事は無いだろう

とりあえずゴリに俺たちの事を説明してもらってから話を進めて行こうと思う


俺たちが入り口へ到着するとヒミカ達3人はすぐにゴリたちを見つけ嬉しそうに駆け寄って来る


「師匠!待ってろって言われたけど来てしまったっす!」


ヒミカは頭上で手を振りながら元気いっぱいの笑顔でそう挨拶する

どうやら師匠とはゴリの事の様だ


「来てしまったっす、じゃねェよ!ったくお前は、ホントあいつらの若い頃にそっくりだな!」


「お褒めに預かり光栄っす!」


「褒めてねェよ!」


全く反省の様子が無いヒミカに対しゴリが「うがーー!」っと唸るがユズがまあまあと抑える

俺たちダンジョン組は緊張してるのに対しこいつらいつものノリである


トラリとトラ蔵はゴリの剣幕に少し気圧されたのかゴリを避けプレッシャーの少ないオッサの元へ駆け寄っていく


「オッサさん僕たちも来てしまいました!」 「俺もヒミカにそそのかされた」


「トラ蔵のそういう所は男らしくないっすよ!あっ!こらっ!まて~!」


ヒミカはトラ蔵のつけ口に敏感に反応しチョークを極めようとするがトラ蔵は素早く身を沈めその攻撃を躱し、そのまま逃走を図る

2人はドタバタ鬼ごっこを始めようとしたがオッサが話を始めたのでその動きを止める

この態度を見る限り3人の尊敬度はオッサ>ゴリの様だ


「それにしても来るの早かったな」


オッサのその言葉にヒミカは嬉しそうに反応を示す


「ふふっ、驚かそうと思って4人が発ったすぐ後に出発したっすよ!予定では追い抜いてここで待ち伏せるつもりだったけど無理だったっす!」


「ダンジョンの正確な位置が分からなくて先回り出来なかった。ていうかちょっと迷った」


「まあ草原って一口に言っても広いからな」


「はい。で、結局追い抜くのは途中で諦めて一泊して来ました」


「成程な、しかしそれにしても早すぎるだろ?リントに送ってもらったのか?」



また知らない名前が出て来たな


「はい!リントちゃんにはマーキングポイントまで送ってもらったっす!」


「ここへも誘ったんですが草原の町で買い物してから来るそうです」


「あの様子だとしばらく来ないと思う」


「リントちゃんはホント協調性とか無くて自由で困ったもんすよね。まあそこが面白くて魅力でもあるんすけどね~」


そう言いながらハハハと笑うヒミカたちに対しゴリが「おまえらだって負けないくらい自由だろうがー!」と叫ぶが3人は聞こえないふりをしてオッサとの会話を続ける

3人とも実に楽しそうである


「そうか、リントも来てるのか。お前らもせっかく山から下りて来たんだから町を見学して来てもいいんだぞ?」


しかしオッサのこの一言で途端に不機嫌になるヒミカ

それまでの楽しそうな表情から一転ムスッとした顔に変わる


「それ地味に傷つくっす!邪魔者扱いしないで欲しいっす!」


ヒミカは可愛らしく頬を膨らませそう叫び、トラリとトラ蔵もうんうんと頷く

3人とも言いたい事は隠さず言うタイプの様だ

オッサはそれを見て少し困った顔をして言葉を返す


「いや、そうじゃなくてだな、遊びたいとか思わんのか?」


「思わないっす!遊ぶにしても師匠やオッサさんと一緒がいいっす!」


「僕も人が多い所は好きじゃないです」


「俺もこの辺に友達居ないし、みんなと一緒のがいい」



3人の堂々とした物言いに押され少しよろめくオッサだが何とか頑張って言葉を返す

俺もあまり口は回る方じゃないから気持ちは分かるぞ


「そ、そうか・・・

しかしそれだと今リントは1人な訳か、ちょっと心配だな。おいゴリ!俺はリントを迎えに行ってくる。こっちはお前に任せるぞ!」


そう言ってオッサは気のせいか少し早足で入口へ向かおうとする


「・・・オッサ一人だと移動に時間が掛かるだろう。私も行こう」


クロもそう言って気のせいでは無く早足で入口へ向かう


「いや、お前ら待て待て!面倒事俺に押し付けたいだけだろ!リントは1人でも大丈夫だからこっちを手伝えよ!」


「面倒事って・・・ひどいっす師匠。うえーーん!」

「酷い、泣きそう・・・」「全俺が泣いた・・・」


「嘘つけーーー!」


3人の泣き真似にゴリが再び「うがーーー!」っと唸る

その隙にオッサとクロはコソコソと移動し入り口へ辿り着いた様だ


「・・・では行こうか。オッサ」

「ああ、リントが心配ダシナー」


「だーー!ちょっと待てお前らーー!」


しかしゴリの叫びも空しく2人は逃走に成功する

ダンジョンから出るなり一瞬でテレポートするのが千里眼カメラで見えた


「うう、信じられねえあいつら。まじで逃げやがった・・・」


ゴリはガックリとうなだれる。そんな嫌がらなくてもいいだろうによ

そこまで問題児なのか?この子ら

ここでチラッとヒミカの方を見るとばっちり目が合ってしまった


「ところで師匠。そちらの御方はどなたっすか?」


そしてここでやっと俺に話が振られる

ゴリはうなだれていたが少し立ち直り返答する


「ああ、あの怪しい盗賊がここのダンジョンマスターでこっちのゴブリンとエルフはその護衛だ。失礼の無い様にするんだぞお前ら」


お前が一番失礼だけどな

ヒミカ達3人はそれを聞き俺たちの姿をマジマジ見てコソコソ意見を交わしている

まあ、今の俺なら聞こえるんだけどね・・・


「な、なんか思ってたのと違うっすね。私の記憶にあるダンジョンマスターってもっとこう・・・」


「ヒミカの記憶にあるのってソフィアさんでしょ?あの人と比べるのは可哀想だよ」


「俺は嫌いじゃないよ。美人とかイケメンよりあのくらいの方が親しみやすい」


全言撤回こいつらすげー失礼!どうせ俺は平凡だよチクショー!


「あのゴブリンはゴブリンにしては大きいっすね。多分ファイター種が進化した個体っすかね?自然界にはファイター種自体珍しいし、こういうレアモンスターが居る辺り流石ダンジョンって感じがするっすね」


「ゴブリンは最初弱い分 進化した個体は修羅場を潜り抜けて来てるからね。数値に現れない強さがあるから油断は禁物だよ」


「確かに位置取りうまいっすね。もし私たちがマスターに攻撃を仕掛けたとしてもすぐに対処できる位置に待機してるっす。それも私たちの位置に合わせて絶妙に立ち位置を調整してる辺り色々な状況をシミュレートして動いてるのが分かるっす。手強いっすよあれは」


なんかゴブ太は高評価だね。眷属が褒められると自分の事の様に嬉しかったりする。もっと言ってほしい


「あっちの女の子。エルフって言ってたっすね?実在したんすね~」


今度はエアに話題が移った様だ

エアはピクシーだった頃と違い、耳が少し長い事を除けばもう普通の人間と同じ様な見た目になっている

つまり簡単に言うとファンタジーに出て来る定番のエルフその物だ

身長は130cm程

肩の少し下まで伸びた金色の髪に人形でも再現できない程美しく整った顔に体

あまり身内を褒めるのはアレだが正直俺の目から見ても非常に美しい姿形をしていると思う


当然ヒミカ達の話題はそっち方面に向かってしまった様だ


「なんかすごい綺麗な子っすね~!女の私から見ても抱きしめたくなるっす!」

「うん。それに金髪碧眼って格好いいよね。憧れる」

「肌もキレイっす。シミ1つ無い肌ってああいうのを言うんすね~」

「うんうん!髪もキレイだよね~!」


なんか女子トーク?が始まってしまった

ヒミカとトラリの2人はしばらくそんな話題で盛り上がっていた

しかしそこでトラ蔵が水を差す様な事を言ってしまう


「俺はちょっと苦手かな。美人は緊張する」


トラ蔵は何気なく放った一言だったが、女子2人は面白くなかった様で渋い顔をする


「それ遠回しに私らの事ディスってるっすか?」

「そ、そんなつもりは無い」

「僕たちの前では緊張してないもんね」

「ト、トラリまで!違うって~!」


また乱闘が始まりそうな感じだな。いや、それはいいのだが・・・


「・・・」


気のせいか何故か俺の背後に居るユズからも負のオーラが噴出されてるのを感じる

ユズは自身がふっくらしてるのを気にしてるのかな?

俺は嫌いじゃないんだけどな~

なんか落ち着くし、癒しオーラ出てるもんなユズは

少々太っていようがそんな事は・・・って!うお!負のオーラ増したぞ!一言余計だったか!ごめんって!













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