装備を整える
今後の予定としてはまずヒミカ達3人にレベル上げのやり方、ダンジョン内でのルール等を覚えてもらう
そしてヒミカ達の後に来るという後続の連中の指導はヒミカ達に任せようと思っている
ヒミカ達への指導はゴリ達に丸投げするのも手だが それでは時間が掛かる
今回に限っては山のダンジョンの件がモヤモヤするし早くすっきりする為にも俺が行ってちゃちゃっと教えて来よう
ヒミカ達と会う際、ゴリやユズが居れば安全とは思うのだがユウたちの時に勝手に動いて怒られたので一応安全対策はしてから会いに行こうと思う
ゴブ太とエアの同伴。そして俺自身も装備を固める
まずパンツはブリーフ。これはこの世界に来た時履いていた物だ
そしてその上に『ユウ』を装備する
ユウは最近変形の熟練度が上がり防具にも変化出来る様になった
前に本人が言っていた様に表面が鋼鉄で中身はゴムの物質に変化してもらい俺の全身を目元以外すべて覆ってもらう
見た目はウォータースポーツの時に着るウェットスーツの様な感じだ
表面が鋼鉄だと動きにくいんじゃないかと思ったが全く動きを阻害される感じはしなかった
むしろいつも以上に体が軽い気がする
不思議に思いユウにどうやってるのか説明を求めるがいまいち要領を得ない。こいつも感覚派か
装備面はこれで十分とは思うが流石にこの格好で出て行くと怪しすぎるし恥ずかしいのでその上に服を羽織る
今まではこの世界に来た時に着ていた長袖Tシャツにジャージズボンという恰好をしていたが、今回はユズがお土産に買って来てくれた着物を着て行こうと思う
ちなみにゴリは漫画本、オッサはお菓子、クロは靴をお土産にくれた
ダンジョンではこういった物資を得る機会は限られているので些細な物であってもありがたい物だ
大事に使わせてもらうとしよう
ユウのウェットスーツの上に作無衣を上下着こむ
黒の生地に赤い炎の模様がついていてなかなかオシャレでいい感じだ
この作無衣、ゴブリンのエンチャンター達に細工をしてもらい浄化の魔法が付与されている代物でもある
一定以上の汚れを感知すると自動で浄化魔法が発動し、綺麗な状態に戻してくれるという洗濯いらずの優れ物
ファンタジー恐るべきである
魔法を付与する際に専用のインクが必要となったがユウやアイに『分裂』で細胞を分けてもらい、それをフェアリーの錬金術師に加工してもらう事で解決した
こういった付与装備やアイテムといった物は生活面でも戦闘面でも非常に有用で量産していきたい所だが、現状インクが足りない(ラーススライム種の細胞はまだコピー出来ない)ので一度ブルーウォータースライムを召喚しインクを作成、コピーできるかどうか試してみようかと思っている
「恰好はこんなもんでいいか?」
鏡が無いのでいまいち自分ではどんな姿なのか分からない
ゴブ太とエアに意見を求めてみる
「作無衣は悪くないけど頭部が合ってない」
「私もそう思います」
「むう」
今頭部はウェットスーツ、体は作無衣という恰好になっている
インナーは作無衣の下に隠れるので問題ないが、頭部はウェットスーツだと不自然か。う~ん・・・
「もう頭部は装備無しでいいんじゃね?」
「ダメだ。むしろ最も保護しないといけない場所だ」
「冒険者が置いて行った鉄兜があるけどあれはどうかな?」
「それはそれで頭部が浮くだろ・・・」
「そっか~!となると帽子系かな?」
「う~ん、帽子も着物と合うのとなると難しいな。ユウ、頭部だけ変化してみてくれるか?」
「うん、分かった~!」
ゴブ太とエア監督の元、ニット帽、ターバン、ベースボールキャップ等様々な形状を試し、審議の結果頭と口元に作無衣と同じ色の手ぬぐいを巻いたスタイルで決定となった
見た目は手ぬぐいだが中身はユウなので尋常な攻撃は通らない防御力となっている
「これで見た目は大分ましになったな」
「うん、でもこれって・・・」
「悪役っぽいな」
「うん、盗賊の頭みたい・・・」
「でも防御力は高いぞ?」
「そうね。あとは目元をガードする物があれば完璧ね!」
「・・・それならいい物があるぞ」
「いや、もういいだろ・・・」
ここでクロも参加してくる。こいつらもう完全に楽しんでんだろ!
クロは一度家に戻り、水中眼鏡の様な物を手に戻って来る
「・・・これをやる。これはダンジョンの宝箱に入っていた物で見た目はアレだが様々な魔法やスキルの効果が付与された一級品だ」
「ほー」
俺は利用していないが、宝箱からどんなアイテムが出てくるのかは非常に興味がある
もし無くならないシリーズの様なアイテムや宝箱からしか手に入らない優秀なアイテムがあるのならば利用する可能性も無きにしもあらずと考えている
まあ中毒性がありそうだし利用するにしてもDP長者になってからだろうけどな
早速メガネを装備してみる
こういった水中眼鏡の様な装備は装着時締め付けられてる様な感じがして好まないのだが不思議とこのメガネは付け心地が良く、視界も裸眼で見るよりクリアに見えるような気がする
「・・・このメガネは眩しい光の中でも、漆黒の暗闇の中でも視界を確保できるスキルが付与されている。また、物理的に目を保護してくれるのは当然として目にダメージを与える光や熱、幻術の類も防いでくれる」
「ほうほう」
他にも遠視、拡大機能や自己修復、浄化、ズレ防止機能も付いているらしい
正直乗り気では無かったメガネ装備だったがこれはすごい良い物だな
むしろ一度使用するともうこれ無しだと物足りない感じさえするぞ。しかし・・・
「すごいありがたいけどホントに貰っていいのか?」
性能からしてかなりの貴重品に思える。少し気が引けるんだが
「・・・いい、人数分持ってる。ダブりアイテムだから」
「まじでか。宝箱ってそんなに落ちてる物なのか?」
「・・・落ちてる。知り合いのダンジョンマスターの話だと一割はダンジョン側には開けられない宝箱になるらしい。しかも一度配置すると移動も捨てる事も出来ないからむしろ開けてくれると消せてありがたいって話だ」
「なるほどね~」
やっぱり宝箱は手を出さない方が無難かな~?
ダブりがそんなに出る時点で当たりが出る可能性はご察しだし、その上開けられない物まで混ざるとなるとストレス半端無さそうだ
そしてそのたまにしか来ない当たりというのは当たった瞬間すごい快感が襲ってくるからな
脳内麻薬出まくりですごい気持ちいいんだ
その感覚に嵌りギャンブルはやめられなくなる
うん、やはり宝箱は放置で行こう・・・
「・・・そういう堅実な所はマスターの美点だと思うぞ。うまい話は当たればでかいが損して後悔してる人間の方が多いからな」
「前世ではギャンブルに嵌って金を溶かしてる人間を嫌というほど見て来たからな。賭け事に対しては慎重にならざるを得ないよ」
俺は前世ではパチンコに嵌った時期があってやめるのに苦労したもんだ
そういった経験から宝箱ガチャもやり始めると止まらなくなるのは目に見えている
宝箱はメニュー画面からも見えない様に非表示にして本格的に封印しておこう
今回の様にちょっとした気の迷いで手を出したくなるかもだしな
◇
よし!封印完了!
あとはクロにもらった靴を履いてっと
「・・・その靴もダンジョン製で足の裏から甲までをガッチリガードしてくれる地下足袋型の安全靴になっている。軽さと丈夫さを重視して選んだ一品だ」
しかもこの靴サイズ調整、浄化、防水機能も付いている。
今まで履いていたスニーカーに比べると装着までに時間が掛かるのが難点だが軽さ、履き心地、歩行時の衝撃の吸収力などあらゆる点でレベルが高く、もはやスニーカーは要らないんじゃないかとすら思える
この浄化や防水機能を持った靴はダンジョンでの生活にはホントにありがたい物だ
なんせ地面は特に手を加えない限り土エレメントの吐いた土だからな
定期的に散水してるので地面が濡れてる時もあるし、靴が汚れたり濡れたりするのは避けられない
その点この靴があれば常に一定の清潔さを保っていられるし、靴に水が浸水してきて不快な思いをする事も無いだろう
地下足袋型なので靴の中に異物が入り込む事も少ない
靴としての評価は俺の中では100点に近い
減点するとすれば見た目があまりよろしくない所か
まあ、盗賊スタイル(今のこの格好の事をそう呼ぶ事にした)には合うしいいだろう
「あの、ありがとうな。この服もメガネも靴も大切に使わせてもらうよ」
ちょっと照れ臭かったがユズとクロにお礼を言っておく
するとユズは少し赤くなり、クロはいつもと変わらぬ様子で返事を返して来る
「そういう固いのはいいですよ~!もっと楽に行きましょう!ね!」
「・・・ん、ポテトチップスのお礼とでも思ってくれればいい」
こいつらのこういう態度にはホントに救われてると思う
やはり色んな意味で山へ行くのは断りづらいよな~
この靴やメガネの様に何らかの効果が付与されたアイテムはアイテム図鑑でコピーする際にかなり高額のDPを必要とするので基本的に制作は眷属頼みになると思う
作無衣なんかも浄化付与前は10DPだったのに対し、付与後は1000DPだったからな
コピーでの量産はコストが掛かりすぎるので地道に手作りしていくしかないだろう
「さて、では行くか」
色々考えさせられる着替えを終え、ゴブ太とエアの許可も下りた所でついにヒミカ達の所へ向かう事にする




