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ライバル関係と信用

「ハア、ハア・・・ちょっと休憩するっす。疲れたっす」

「ハア、ハア・・・」


ヒミカの言葉にトラリはもう返事をする余力も無いのか無言でうなずいた

2人はあれからさらに3分ほどやりあっていたがようやく休憩する事にした様だ

2人とも壁に背を預け体育座りで座り込む


「ハア、ハア・・・それにしても困ったっすね

師匠たち居ないし、奥へは進むなって言われてるし見つけてもらえるまでここで待機するしか無いっすかね?」


「ハア、ハア・・・だから迎えが来るまで待ってた方がいいって言ったのに・・・」


「そ、それは私が悪かったっすけど・・・

でも2人だって何だかんだ付いて来たじゃないっすか!」


「そ、それはヒミカに抜け駆けされたくなかったし・・・」


「俺も2人に差を付けられたくなかったから付いて来た」


3人は身内だけどライバルって感じなのか

前世の話だが競い合う立場に居る身内

しかも己に近い力を持つ者っていうのは競技をやる者にとっては貴重な存在だった

なんの競技でも同じだろう


格闘技は個人競技だが1人で強くなる事は出来ない。練習相手が必要だ

だがその相手が強すぎると技術的な練習には向いていないと言える

格上には何をやっても通用しない為ずっと相手にしているとドンドン自信を失い、元の型すら分からなくなって調子を崩してしまうのだ

格上相手の練習はただ思い切りぶつかり跳ね返される事でパワーや頑強さの強化を図る為に行う物である


技術の修練は格下相手に行うのがいいとされている

格上や自分と同等の相手には覚えたばかりの付け焼刃な技術は通用しない為、特に新しい技術を覚えたい時は格下を相手に練習するのがいいだろう

あるいは調子を崩した時も調整の為に付き合ってもらうのも有りだろう

だが格下には工夫しなくても技が掛かってしまう為、これも慣れすぎると力任せになってしまいよくないとされている


自分と同等レベルの相手が貴重というのは実戦レベルの技術の修練、そしてパワーや頑強さの強化を効率よく行える為である

また、同じ道場の人間とはいえ自分と互角程度の相手にはライバル意識が湧きこいつには負けたくないと思う物である

そういったモチベーションの増加は物事を続けていく上で重要な意味を持っている


反面、身内というのは大会では強敵になるけどな

俺は高校の柔道インハイ本戦は同じ県の奴に負けたからな。それも二年連続だ

手の内を知られてる分、初見対決の他県の強豪より身内のが強敵だったりするんだよな・・・

全国大会まで行っていつも練習してる相手と戦いたくねェっつーの!


とまあ少し思考がずれたがライバル関係ってのはいいもんだよな

この3人もこれだけの突出した力を持つのだ

もしお互い出遭わなければ慢心して育っただろう事は容易に想像できる

しかし自分と同等の器を持つ者の存在。お互いに認め合い、競い合っていける相手の存在が慢心を防いでいるのだろう


強者特有の相手を見下すような空気は感じられない。いい面構えをしている

いろんな意味で将来有望な若者たちだと思う

ゴリ達が贔屓ひいきにするのも分かる気がする

しかし、少し気になる事がある


「ゴリさんや」

「な、何故さん付け・・・どうした?」


「確か若い子らのレベル上げの手伝いをする約束だったよな?」

「あ、ああ・・・」


「その件だが、確か一日に狩れるモンスターの数は知れてるからDP収支マイナスにはならないとか言って無かったけ?」

「い、言ってたね・・・」


「うん。でも、どう見てもあの子たちが力尽きるまでモンスターを狩ればDP収支マイナスになる気がするんだが、どう対処すんの?」

「う、それはだな・・・」


ゴリは珍しく口ごもる

当然だ。あの子たちは若い頃のゴリ達と同じくランクが1つ2つ上の相手でも問題なく狩れるだけの実力を持っているだろう

同ランクのモンスターなんて雑魚同然に狩れる筈だ

とてもDP収支がプラスになるとは思えない

ゴリは少し考え込んだ後、妥協案を口にする


「あの3人に関してはどうしてもDP収支はマイナスになるだろう

だがそこは俺たち4人のDPで補完してもらえないだろうか?

経験値も入るし、そんなに悪い話じゃないと思うんだが、ダメかな?」


「むう・・・」


そう言われると今まで散々DPと経験値をもらってる手前断りにくいな


「それにあの3人はお試しでな

問題無くレベルが上げられる事が分かれば後続が派遣されて来る手筈になっている」


「ほ~」


「最初は私たちのクランの子達。

うまく行けば同盟を結んでいる信頼出来るクランの人たちにも利用してもらう手筈になっています!

一気に収入が増えますよ!ウハウハですよ!」


「ほー」


「ユズ、助け舟はありがたいけど喋り過ぎだ。はあ、まあそういう事だマスター」


「ふむ・・・」


「補足説明すると、後続の中にあの3人みたいなのは居ないから大丈夫だ」


「うん、ちょっと待って。考える」


ゴリは意外と口が回るっていうか、交渉時は相手に考える間を与えない感じでグリグリ押して来るよな

今してる問答も最初からある程度考えられてる気がするんだよな


しかし計算高い所は感じるが今まで付き合った感じだとどうしても憎めないというか、悪い奴には思えないんだよな

交渉事は理屈も大事だが結局最後は相手が信用できるかどうかってのが大事になってくる

その点ゴリは得してるよなと思う

多少腹黒い所が見え隠れしてても、でもゴリだし話に乗ってやってもいいかって思ってしまう



う~ん、まあいいか

この話は前に結論出てるし、あの3人みたいなのがゴロゴロ居るなら断る事も考えたがそうでは無いみたいだしな

最近DPインフレのせいで俺自身のレベルアップによる自動吸収DP増加は軽視しそうになるが、もし何かの間違いで最初からやり直す事になった場合俺自身のレベルはかなり重要になるだろう

それに山を探検する為にも少しでもレベルは上げておいた方がいいだろう

当初の予定通りこの話受ける事にしよう








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