ランクの上限(仮)
この辺りの話はなかなか書けなくて苦戦しました
その内書き直したいですが今は話を進めることを優先したいと思います
「そのレオンや三人娘ってよく話に出て来るけどやっぱ強いのか?」
ちょっとそいつらの事も気になるので少し脱線して質問してみる
まあ弱い訳は無いか。学生時代とはいえゴリより強かった時期もあるんだし
「ああ、そりゃ強いよ
数字でいうとレオン、響、春花、七海は大学卒業時にはランク8だったからな
山でおっさんと合流した頃にはみんなランク9にはなってた筈だ」
「まじでか・・・」
強すぎじゃね?ランク2から3へ上げるのに何年も掛かるって話、前にしてなかったっけ?
「普通はそうなんだがな
俺も含めそのメンツは幼少期から鍛えまくってるし積み上げてる地が並の奴とは違うんだよ
ランク2の時には既に平均的なランク4モンスターならタイマンで倒せる位は出来たしな
ランク上げなんて同ランクの敵倒せば上がるんだから鑑定が通じる内は結構楽勝だったよ」
成程、鑑定が通じれば敵を選んで戦えるもんな
その上でランク2つ上の敵を倒せるんならレベル上げの効率も普通の奴とはまるで違ってくる訳か
「その通り。もっと言うとランク8までのモンスターは生息地などが書物に載ってる事が多いんだ
だからある程度狙って狩りに行ける
ランク9まではそこそこ意識の高い奴なら誰でも上げる事は出来ると思うよ」
いやいや騙されないぞ!
今まで何百人と侵入者が来たけどランク4超えは数えるくらいしか居なかったからな
ランク9は誰でもなれるなんてのは努力すれば誰でも世界チャンピオンになれると言うのと同じくらいの暴論だと思うぞ
「いやいや、例えば創作の物語なんかではどんなジャンルでも必死に努力してる奴が大量に出て来るけど
現実には必死に努力してる奴なんか殆ど居ないからな?
俺みたいな貧弱人間でも二年足らずで同年代ではトップクラスの筋力を得たんだ
人並の才能があれば一年も鍛えれば学生レベルならトップクラスにはなれると思うぞ」
う~ん、まあ俺も前世では鍛えてた方だからその辺りの理論は分からなくも無い
筋肉の力ってのは才能に左右されにくい努力で伸びる要素だと言われてるしな
しかも前世では体格による ある程度の限界はあったが
この世界ではランクを上げる事により、器もでかくする事が出来る
努力で伸びる要素とそれによる個人の実力差は前世のそれとは比較にならないだろう
そう考えればゴリの言ってることにも一理あるのか
「とは言えトップクラスにはなかなか勝てないんだけどな
努力してる者同士で戦うと才能も少しは必要かなと言い訳を考えてしまう時もある」
それも分かる
俺は前世では高校入ってから柔道始めて二年目で体重別だがインハイベスト8
3年目でも同じくベスト8まで行った
しかし、どんなに努力しても日本チャンピオンとかメダリストとかそういうクラスには公式戦では一度も勝つ事は無かった
頂点に立つ連中というのは特別な存在なのだと思い知らされたもんだ
まあ、それが努力をやめる理由にはならないけどな
この世界でもきっとトップの連中は特別な存在なのだろう
ランク9以上に上げるのは難しいみたいに話してるから多分その辺りがランクの上限なのかな
んでランクが同じだとステータスによるごり押しが難しいからセンスが物をいってくる訳か
「ああ、その理由だがランク9からは鑑定で得られる情報が限られてくるんだ
ランク9以上のモンスターは必ずステータスを隠蔽する能力を持ってるからだ
鑑定スキルと隠蔽スキルのレベル差で得られる情報量は変わって来るが
大抵の場合は敵のステータスの5割以上と得意としてる所持スキルは見られない
つまり敵の強さが分からないまま戦わなければならないのでランク10以上に上げるのは命懸けだ」
そういやユズのステータスは殆ど見られなかったな
ユズは鑑定できるって言ってたのにノエルの嘘つきやろーって思ってたがそういうカラクリか
「うむ、だからランク9で足踏みしてる者や10以上に上げようとして死んでしまう者が多い
なんせ敵の強さが分からないから丁度いい強さの敵を探すのが難しいんだ
相手がランク10のつもりで闘いを挑んだら実は20かもしれないんだからな。まさに命懸けだ」
なるほどな~
しかもランク11以降はレベルを上げる時にも強さ不明の敵(ランク9以上の敵)を相手にしないといけない
自己鍛錬でもレベルは上がるが高ランクになると次のレベルまでの必要経験値も多い
自己鍛錬だけでレベルを上げていくのは不可能に近いだろう
ランク11とかなるとランクアップ可能なレベルに達する前に寿命が来そうだよな
となるとレベルを上げるだけでも何度も命懸けを乗り越える必要がある
だとすると普通はそれ以上ランクを上げようとは考えないんじゃないか?
同志を募ろうにも死ぬ確率の方が高そうなギャンブルだ
人が集まるとは思えないし、仮に集まったとしてもランクが上がる頃にはその殆どは死に絶えているだろう
人類のランク上限はゴリ達例外を除けば11位と見て間違いないか?
「その通りだ。実際におっさんもレオン達も俺も、ランク9は大きな壁だったよ
正直山のダンジョンの一件が無ければそれ以上ランクを上げるのは無理だったと思う」
「山のダンジョンの一件?」
「ああ、ちょっと前置きが長くなったがここからが本題だ
本来おっさんは山である程度キャリアを積んだ後は別の大陸に渡ってやり直す気だったと思うんだ」
「そうなのか?なんか意外だな」
そんな出世欲の強いガツガツしたタイプには見えないが
「出世欲が強い事自体は悪い事じゃないぞ?
やり方に問題がある人間が多すぎるから低俗っぽい印象を受けるけどな」
「ああ、他人の足引っ張ったり上司への営業を頑張るタイプは低俗って思うわ」
「だな。おっさんはそうでは無く実力を付ける事で上を目指すタイプだけどな
まあ前述の通りそのタイプは出世出来ない事が多いんだが・・・
っと、その話は置いておこう
本来別の大陸へ渡る予定だったおっさんだが長年の間 山の町を離れる事は無かった
何故だと思う?」
「う~ん、居心地が良かったから?」
かつての仲間が集まり、自分を評価してくれる者が居てくれれば相当居心地はよかったと思う
俺なら別大陸へ渡り出世なんか目指すよりそこで永住する事を選ぶだろう
「まあそれもあるだろう
だが最も大きな理由は違う
おっさんが出世という その時点では目標を放置してまで山の町に留まった理由
それは山の町にはおっさんが惚れた女が居たからさ」
な、なんか話の流れがある程度読めてしまった
これは重い話になりそうだ・・・
「おっさんが惚れた女、それは初代山のダンジョンのマスターだ。その名をソフィアという」




