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すごいバカ

「おっさんについて話すとは言った物の俺もおっさんとはあまり行動を共にしてた訳じゃないんだ」

「そうなの?」

「ああ、俺が学校を卒業する頃にはおっさんはもうそれなりに冒険者としてキャリアを積んでたしな

なかなか一緒に仕事をするって訳には行かなかったよ」

「ほうほう」


これは結構意外

てっきりずっと一緒だったのかと思ってた


「俺も最初は高校卒業したら冒険者になっておっさんと一緒に活動していこうって思ってたんだけどな

でもレオン達は進学するって言うし、将来の為にも学歴やコネは必要かなと思って少し考え直したんだ

せっかく出来たダチと離れるのも嫌だったしな」


「ふむ」


「で、俺らは大学へ進学する事になった訳だけど俺やレオン、三人娘はおっさんの事を勝手に目標っていうか、ライバルと思ってる所があってな

おっさんの噂は結構チェックしてた。別にストーカーって訳じゃないぞ」


ふむ、前から思っていたがこの世界はよくある中世ヨーロッパ風の世界じゃないっぽいよな

義務教育も存在してるみたいだし、チェックしてたとか簡単に言うけど個人の動向をそんな簡単に知れる時点で情報媒体もかなり発達してる様に思える

もしかしてネットとか携帯とかあるんだろうか?


「それに近い物はあるぞ。マスターの前世でいう所のパソコンは一般に普及してるとは言い難いがクランやギルドなんかには設置が義務付けられている。ネットでの情報回覧はそういう所で行うのが基本だな」


「ほうほう」


「携帯はそれに近いマジックアイテムがある。通話とメールしか出来ないが、安価で世界中どこでも使用できるし携帯でいう所の充電もしなくていいし通話料金も存在しないので通話に限って言えばこっちの方が便利だと俺は思う」


「ほう。ってかネットとか携帯って言葉で通じる事に驚きだわ」

「まあこれでも一応『管理者』の一人だからな。異世界事情にもそこそこ詳しいよ。近場なら行ったこともある」

「管理者?」

「ま、まあその話はいいだろ・・・え~とどこまで話したっけかな?」

「オッサをストーカーしてたって所」

「そうそう!って違うわー!」

「ふはは!」


なんか気になるがごまかされてやるか


「そういや気になったんだけどイケメンや三人娘もオッサの事ライバル視してたの?」

「ああ、前に話したランクアップツアーの後おっさんとは何度かスパーリングした事があってな」

「ほうほう」

「その度にみんなボコボコやられてたからな。前も話したけどステータスはめちゃ高いし、意外と体の使い方も知ってて強いんだよ、あのおっさん」

「ああ、それでやられてる間に勝手にライバル視したと」

「そゆこと。で、話は戻るがおっさんは最初の頃はクラン入って普通にパーティ組んでまっとうに冒険者してたらしい」

「最初は?」

「ああ、だがおっさん強いからな。本人は普通にしてるつもりでもどうしても目立つんだムキムキだしな

そんでクランの先輩に目をつけられて喧嘩売られて」

「返り討ちにしてボコボコにしたと?」

「その通り!でもおっさんの名誉の為に言っとくが喧嘩売って来たのは相手だったって話だ」

「それでも先輩ボコっちゃまずいだろ?」

「ああ、普通は泣き寝入りするんだがな、おっさんは普通じゃないんだ」


それって褒めてるのか?・・・


「おっさんは自分の事なら我慢できるんだがな、その先輩は他の立場の弱い奴らにもイジメを行ってたらしい。それでおっさんがキレたって話だ。まあ俺も現場に居た訳じゃないからよく分からんが

おっさんが間違った事する訳ないしな。よっぽどヒドイ先輩だったんだろうなとは思う」


「その辺あまりイメージ出来ないな。オッサって俺が今まで会った人類の中では一番温和で常識人だと思うんだが、ちょっと頭に来た程度でそんなに暴れたりするかな?」


人間は社会へ出れば多少の理不尽は我慢して生きて行かなければならない

いちいちキレていてはキリがないだろう

今の話を聞いた感じではオッサはすぐキレる危ない人の様に思える


「温和ってのは間違って無いと思うが常識人ってのは違うと思うぞ?

おっさんはこうと決めたら絶対譲らない頑固な所がある。

マスターの言う常識的な所は多分「一度目の人生」で捨てたんだろうな

「二度目」では己の理想を目指して生きていくって決めてるんだ

そこに立場や世間の常識は当てはまらない

きっとその先輩を殴った時、こいつを許したら理想から遠ざかると思ったんじゃないかな?

だから殴った。それだけの話だ

後の事なんか考えちゃいねェ。ただのバカだ

でも、俺はそのバカを尊敬してるがな・・・おっさんには内緒だぜ?」


ゴリの気持ちも分かる。

誰もがオッサの様にまっすぐに綺麗に生きて行きたいのだ

しかし結局己の保身の為その理想を曲げる

それが大人になる事だとか賢い生き方だなんて言って理想を諦め生きて行くんだ


ただのバカだと?違うだろう?特別すごいバカだよそれは


「だが、その生き方のツケはでかい

その事件がきっかけでその先輩が行っていたイジメも明らかになり、おっさんを擁護する声もあった

だが結局問題を起こしたとしておっさんはクランをクビになった

クランの上層部からすれば事の善悪より世間体が大事だったんだろうな

事件を起こした人間は切るってのが世間一般の考え方だ

世の中そんな綺麗には出来てないって事だな」


「その手の話は胸糞悪くなるからやめようぜ」


「ん、そうだな。

では話の続きだが、一度クビになった人間は他のクランにもなかなか入れてはもらえない

理由は色々あるんだが、まあその話はやめておこう

で、クランに入れなくなったおっさんはいわゆるソロの冒険者として活動していく事になる」


「ほうほう、でもソロでやっていけるもんなのか?」


「普通は無理だがおっさんは普通ではない」


だからそれは褒めてるのか?


「それにソロとは言ってもクランや派閥といった組織に属してないだけでパーティを組まない訳じゃないぞ

幸いおっさんはくそ強いしな。その力を欲するパーティを組みたがる人間は大勢居ただろう」


つまりその場その場で即席パーティを組む訳か


「その通り。今にして思えばクランで冒険者としての基礎を学び、ソロで自分が主体となって仕事をする術を覚えたと言える。そういった経験故か戦闘力だけでなく冒険者としても高い実力を持つ仕事の出来る男だよおっさんは」


「ふむ」


「しかし仕事の出来る者が真っ当に評価されるとは限らないのがマスターの言う人間世界の胸糞悪い所でな。特に組織に属していないソロの人間ってのはいいように使われるんだ。俺らはおっさんがいいように使われてるのが歯がゆくてな~。早く学校を卒業して力になってやりたいって思ったもんさ」


このゴリの言う真っ当に評価されないというのは出来ない者の言い訳では無い

例えば時給計算の仕事なんかだと仕事の遅い者の方がいっぱい働いている様に見える物である


俺が前世でバイトをしていた引っ越し業者では仕事の早い者はそれ故にハードな物件に回され、しかも仕事を早く終わらせてしまうので給料は安かった

逆に仕事の遅い者は余裕のある楽な現場に配置され、当然仕事を終わらせるのも遅いのでそいつの給料は高かった

仕事ができない者ほど楽が出来て給料が高いのである。ふざけんなって話だが査定をする上司は現場で一緒に仕事してない事が多いので現場の作業員がどれだけ仕事が出来るかなんてのは評価の対象外なのである

真面目に頑張る者ほど損をするとはよく言ったものだと思う


「それにしてもオッサは意外とっていうと失礼だが地道な人生送ってんだな」


ノエル曰く最強の男って呼ばれて人気もあるらしいからもっと順風満帆な無双系のストーリーかと思っていたが予想に反して地道である


「まあ冒険者っていうと未知に挑む開拓者っていうイメージが強いが実はやってる事は地味だからな

何々草を採って来てほしいだの、モンスターの落とす素材が欲しいので討伐ついでに取って来てほしいだの

そういう仕事が主だ。いくら強くてもそうそう名は広がらないわな

おっさんの名が世に広まったのは冒険者稼業とは関係なく、とある格闘家との勝負が原因でな・・・

その人はすんげ~有名な格闘家なんだがちょっと訳ありでな。ある日おっさんに試合を申し込んだんだ」


「ほうほう」


「その試合は今でも関係者の間で伝説の一戦として語られる名勝負だったらしい

くうっ!俺も見たかった!俺はその時用事で行けなくてな~!」


ああ、なんか分かるわ。そういうのあるある。

何でよりによって今日予定入るかな~みたいな。あるある

で、続きはよ



「うむ。その勝負がきっかけで一気におっさんの名は広まる事となる

それからは腕に覚えのある者が何人もおっさんの元を訪れ勝負を挑んで来たらしい

そして、おっさんはその全てに勝利し、いつからか最強の男と呼ばれる様になった」









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