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vsクロ その2

アーサーの攻撃はもうクロの眼前まで迫っていた

しかしクロは巨大なハンマーが頭上に振り下ろされようとしているのに微動だにしない!

そのままハンマーはクロの頭を打ち砕いた!・・・かに見えたが・・・


「な、なんですかこれは?・・・」


驚愕の表情を浮かべるアーサー。いや、アーサーだけでは無い

他の者も驚きのあまり動きを止めてしまっている

気持ちは分かる。俺も何が起こっているのか意味が分からない


クロは一歩も動いていない。

にも関わらずアーサーの攻撃はクロに当たっていなかった

いや、その言い方は正確では無い

攻撃がすり抜けていた


他の者達もすぐに硬直から立ち直り、一歩遅れて様々な攻撃を繰り出す

盾による殴打、投石、風や火の魔法、しかしどれも同じ。

クロには当たらず、すり抜けてしまう

クロは繰り出され続ける攻撃を全く問題にせず、説明を始める


「・・・これが高次元化の1つ「透過」だ。

今私の体は高次元領域にずらしてある。だからそこからの攻撃は私には届かない

そこと私の体のある空間とは繋がってないからな」


い、意味が分からん・・・


「・・・高次元に存在出来る生命は高位生命体と呼ばれる。我々超人もその1つだ

自分で言うのもなんだが、高位生命体は三次元の生命とは文字通り次元の違う力を持つ

例えばこの透過した状態で木の棒などを相手の体に貫通させる

透過した状態ではダメージは無いが、三次元へ木の棒を戻せばどうなると思う?」


木の棒が相手の体を貫通する訳か

防御力を無視した攻撃・・・


「・・・その通りだ。では同じ理屈で魔法を放つとどうなるかな?」


え?何言ってんの?この人。ちょっと待ってほしいんだけど・・・


「あ~、やばいな。おっさん最悪の時はリセットしてやってくれ

ユズの力も借りればダンジョン全体に効果は届くだろ?」


「ああ、分かった。ユズもそういう事だから準備しといてくれ」

「了解です!」


最悪ってなんじゃー!やっぱりこんな勝負受けるんじゃなかった!

ちょっとでも勝てると思った俺がバカだったわ!


クロは手に持った杖を頭上に掲げクルンと一回転させる。そして・・・


「・・・聖女抹殺伝説!」


そう告げると同時に杖の先端から何百、いや、何千もの魔法が同時に放たれていく!

慌ててゴブ太が防ごうとするも魔法はゴブ太の体をすり抜け後方の仲間へ次々と着弾していく!

防御行動を取ろうが意味を為さない

すべてすり抜け胴体に着弾した所で三次元化して攻撃を喰らってしまう

そしてその攻撃はその場にいる者だけでなく、口の字 ̄部分にいるモンスター達にも及んだ様だ


HPが10残ってはいるものの、殆どの者は戦闘不能だ

恐らくダメージだけでなく麻痺などの状態異常も付与された魔法なのだろう

しかし数千体ものモンスターを一瞬で行動不能にするとは何というデタラメな存在なのだろうか・・・


「・・・とまあ、こうなる」

「クロさんすごいです!聖女抹殺伝説ってなんですか?私にも後で教えてください!」

「・・・かつて裏ボスを倒したと言われる必殺技を私が改良した。ふふっすごいだろう?」

「すごいです!」

「いや、すごいだろ?じゃねえ!そんな技ねえから!お前無詠唱で発動出来るだろ!」

「・・・バレたか。必殺技名を言った方が雰囲気出ると思ってな」

「恰好よかったです!私も今度から言ってみます!」

「抹殺伝説はやめとけよ、仮にもヒーラーなんだから・・・」


なんでこいつらこんな軽いの!俺めっちゃショック受けてんだけど!

クロはカメラに向けてVサインを決めた後、入り口右手、一通の扉へ向かって歩き出した

それを止められる者はもう誰も居ない


だがバカめ!その扉は入り口側からは開かないぞ!

いつも俺が操作して開けてたから知らないのか?

と思ったが、クロは扉を透過ですり抜けた

もう反則だろそれ!チートだチート!


やばい!このままだとすぐにコアルームまで辿り着かれる!

急いで地下2階居住区入り口へコアルームを移動させる


くっそ~!なんかこのまま負けるのは悔しいから隠れさせてもらうぞ!

俺はアイを呼び出し気配遮断魔法を掛けてもらい果樹園へ身を隠す

もはやランク4モンスターでもクロにさわれるとは思わないが、せめて引き分けに持ち込んで見せる!


「マスターどこに隠れる?なんか楽しいね!こういうの!」

「木の上にしようよ!近付いて来たら俺がやっつけるからさ!」

「そ、そうだな・・・木の上に行こうか」


何故かユウも付いて来た。こいつら楽しそうだな

さっきの惨劇を見てないからか・・・


それにしても、コアルームが進化したからかカメラを見なくてもダンジョンの中の様子がよく分かる

妖精樹も根を伸ばした所は知覚出来るとか言ってたな

その感覚はよく分かる。

離れていてもクロの居る位置。話す声はよく聞こえてくる


「・・・隠れ終わったか?では高次元の説明の続きをするぞ

私はまだ地下一階にいるが高位生命体にとって距離は関係ない

これも説明が難しいが、高次元世界から見た3次元の世界は紙に書いた地図の様な物なのだ

だから紙を曲げる様にして私が居る地点とマスターの居る地点を繋げると」


そこまで聞いた瞬間背中に手の感触を感じた。

え?嘘だろ?さっきまで地下一階に居たのに

気配遮断魔法も掛けてるのに・・・


振り向くとそこにクロは居た

人はどれだけ努力しようが「圧倒的」とまで呼べる存在にはなかなかなれない物だ

だからこそ創作物のヒーローなどに強い憧れを持つのだと俺は思う


目の前の少女はまさにその圧倒的な存在なのだろう

完全にその実力を見誤っていた


「・・・マスター捕まえた。私の勝ちだな」


少女はそう言って屈託のない笑みを浮かべる

普段は可愛いとしか思わないのだが、何故だろうかその時は「美しい」と素直にそう思った







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