vsクロ
何だか変な事になってしまったがやるからには真面目にやろうと思う
決してやましい気持ちがある訳では無い。無いったら無い
こちらはタッチすれば勝ちという事なのでランク1モンスターも十分戦力になるだろう
口の字 ̄部分に居るランク1~3のモンスターにはクロが侵入して来たら触りに行くように指示しておく
これだけでも物量で押し切れる気がするが、念の為ゴブリンやピクシー達にも声を掛け参加してもらう
流石にクロは恐れられているのか全員は参加しなかったがうちの精鋭と呼べるメンバーが集まったので良しとしよう
カメラを見るとゴブ太、アーサーが前衛、エアが中衛、後衛にはローレライやハンター、ソーサラー、シルフクイーンなど完全にガチな布陣で入口にいるクロを包囲している
開始と同時に襲い掛かるつもりの様だ
さらに表情を見てみると皆非常に緊張してるように見える
あいつら、ちょっとガチすぎないか?
なんかこっちまで緊張して来たんだが・・・
◇その頃入り口~
クロは入り口に到着し、開始の時間が来るのを待っていた
特にモンスター達を威圧するでも無く、柔軟体操などをして時間を潰しているだけだが
その姿を見てモンスター達はかつてない程の恐怖を覚えていた
普段は仲間として接しているが、いざ敵に回るとこれ程恐ろしい存在なのか
これがもし鬼ごっこでなく、殺し合いなら、皆戦おうとはせずいかにマスターを逃がすかを考えたであろう
それほどの脅威
その場にいる者達にはクロという少女の姿は恐ろしい魔王の様に見えていた
「敵わないのは分かっていますが、一矢報いる位はしたいですね」
アーサーの言葉に皆頷く
精いっぱいの強がりだ。そうでも言わないと恐怖に押しつぶされてしまうかもしれない
そう思った故の言葉
しかし、その言葉に対しその様子をコアルームで見ていたゴリの叱咤が飛ぶ
「アーサー!いつも言ってるだろう!心と体は繋がっていると!
一矢報いるでは無い。勝ちたいと思わなければダメだ!
これは精神論では無いぞ。他の者もよく聞いておけ!
「負けたくない」と思って戦うのと「勝ちたい。勝つ!ぶっ飛ばす!」と思って戦うのとでは勝ちたいと思った時の方が強い力が出るのだ!
いかに相手が格上だろうが勝ちたいという気持ちを無くしてはならん!
心技体で一番大切なのは心だと俺は思っている!
誰が相手だろうが一番大切な所で負けてはならん!」
その言葉で皆の顔からは少し緊張が抜け、お互いに顔を見合わせ笑みを浮かべ頷く姿が見える
相当に士気は高まった様に思える。いや、だからガチすぎだろみんな・・・
それにしてもゴリはたまにいいこと言うよな
男が惚れる男ってのはこういう奴の事を言うんだろうなと俺は思う
顔はゴリラに似てるがな!
「いや、ゴリラに似てるとか。そんな褒めないでくれる?照れるから」
「照れるトコそこかよ!」
「まあそういう冗談はさておきマスターもよく覚えておけよ。この世界では心の影響というのは大きいのだ
俺は力を求めた結果 力を得た
おっさんは第二の人生を踏み出した結果リセットを得た
その者が強く願う事に対し世界は応えてくれる
マスターが得たギフトアイテムについても身に覚えはあるだろう?」
そう言われてみれば食糧問題について考えてたら無くならないシリーズが出て来たな
転移についても以前からそういうの欲しいって思ってたしな。でも偶然ではないのか?
「偶然では無いぞ。俺もその辺りの理は超人になってから知ったのだが・・・」
「あ!5分経ちました!クロさんスタートです!」
話は途中だったがユズの合図で鬼ごっこは開始される
「・・・お前たち遠慮ぜず本気で来ていいぞ」
その言葉を聞くより前に皆動いていた
ゴブ太を先頭に一歩遅れてアーサー、さらに一歩遅れてエアが近付いていく。
後衛はその場から動かず遠距離攻撃や前衛のサポートに徹する様だ
「・・・いい動きだ」
その場から動かないクロに対し、ゴブ太が盾で視界を制限しアーサーがその陰からダングステンのハンマーによる必殺の一撃を繰り出す!
エアはアーサーの攻撃が避けられた場合に備えアーサーの後ろで待機している。後衛連中も同じくだ
ハイエナとの戦いでは後衛が攻撃の中心で前衛は敵の足を止めることを優先とした戦い方をしていた
だが今回は魔法使いのクロが相手という事で前衛を中心とした組み立てをしている様だ
正直俺はクロが勝つにしても華麗に攻撃を避け、魔法で皆を圧倒する
なんて「まとも」な攻防を期待していた
しかし、この魔法使いは俺が思っていた以上にデタラメな存在だった様だ・・・




