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ナオミは明るかった。
「私、生きててよかった」
「僕もそう思う」
ナオミが真顔になった。
「で、どうする?」
「どうする、って?」
「私とカナ、どっちにするの?」
…。
「今すぐ決めなくてもいいけど…」
帰り道。
僕は考えた。
カナ。見かけは。でもカナじゃない。
ナオミ。中身はカナ。でも見かけが別人。
どうする?
カナがいた。
「ちょっといい?」
「私から、気持ち、離れてるんでしょう?」
…。
「しょうがないよね。あなたにとっては本物のカナじゃないもんね」
「…でも」
「あわてないで、しばらくゆっくり考えて。じゃあ」
カナが去っていった。
僕は一人、残された。