5/6
5
カナとキスした。
カナだった。
見かけも。
声も。
瞳も。
でも、中身が、カナじゃない。
一人で、街を歩いていた。
「ヒマ?」
同世代の知らない娘が、声をかけてきた。
「…ああ」
彼女と一緒に歩く。
服を見たり、アクセサリーを見たり。
「あなたっていいよね」
「そう?」
「うん」
なんか、どうでもよくなってきた。
彼女とキスした。
なんか、安らいだ。
「あなた、私が必要みたい」
彼女が笑顔になった。
帰り道。
ナオミがいた。
「いい?」
僕は彼女についていった。