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「ねえ、トオル」
「なに?」
放課後。
僕はカナと歩いていた。
「私でいいの?」
「うーん」
そうなんだよな。
カナはカナであって、カナでない。
そう感じることはないんだけど…。
「キスしようか?」
カナが言った。
僕らはキスした。
「なんか、ヘン?」
「うーん。ヘンじゃないといえばヘンじゃないけど、ヘンと言えばヘンかな?」
「そんな感じだろうね」
しばらく無言で、並んで歩く。
僕は、聞いてみることにした。
「ねえ?」
「なに?」
「僕のこと、好き?」
「うーん…」
やっぱり、カナの返事は曖昧だった。
僕らは無言で歩いた。