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2球目〜試合終了後〜

試合終了

結局、5回途中からマウンドに上がった三頭三郎は5回を投げて三失点と何ともコメントしづらい成績で投げきったが相手エースのまえに打線が手も足も出ずに海川中は0-12で完敗してしまった。

もっとも監督はうっとりしたような目で三頭兄弟をみつめているが。

「よし、俺は決めたぞ。あの双子をWエースに擁して甲子園に行くぞ!」

今度は叫んでいる・・・。ほんとに勘弁してほしいなあ、また欲しい選手の前でウチにこないなら俺は死ぬ!とかなんとか言って泣き出すのだろう。

ちなみに好きなおもちゃの前で買ってとだだをこねる子供のようなこの監督が有望選手を引っ張って来れたことはこの二年間一度もない。

もっとも前の学校のような優秀なスカウトがいないM高の責任もあるんだけどね・・・

あれ?いつの間にか監督が消えてる?




僕は今、人生の転機を迎えたのかもしれない。

僕は三頭三郎15歳。双子の兄は将来メジャーで成功確実と言われている三頭一馬だ。

悔しいけど小さい頃から何をしても一馬には勝てなかった。容姿も身長も髪型のかっこよさも全部一馬の方が上、外面だけじゃない性格だって僕は引っ込み思案だけど一馬は常にまわりに友達が集まってくる人気者だしかわいい彼女もいる。唯一野球ではよきライバル・・・だった時代もあったがどんどん背が伸びていって球が速くなる一馬に対して僕は一馬に勝ちたいためだけに才能のないピッチャーのポジションを子供だましみたいな下手投げで続けてる。

「こんな僕が一馬以上になれる?いくら無名選手をスカウトしては大成させている及川監督の言葉でも信じられませんよ。」

「いや、俺はいたって本気だ。君が一馬以上になれると豪語できる根拠は二つあるんだ。聞きたいか?」

僕の人生の転機はこんなに突拍子もなく始まった。一馬が炎上したとはいえ5回3失点で一馬の弟であることが長所の俺に言う言葉じゃない、最初はそう思っていた。

「是非聞かせてください。一馬と同じ遺伝子だからとかじゃ納得しませんからね。」

「もちろんそんなもんじゃない、むしろ二人が似ていないのがいいんだ。」

僕の心に疑問符がうかぶ。にてないのがいい?

「そうなんだ、君には一馬君にはないすばらしい物がある。一つ目は君のスタミナだ。一馬君は常に全力投球のタイプだしコントロールが雑だから現時点では一定以上のレベルのバッターが並ぶチームと対戦したら2回持たずにめった打ちだ。しかし君はアンダースローという体に一番負担がかかるフォームをしているのに今日だって顔色一つ変えずに150球も投げた。」

「でも3失点していますしたったの5回を150球もかけるのはむしろ欠点な気がしますが・・・」

「いやそんなことはない、君は150球目まで同じクオリティーの球を投げ続けられるんだ。おれの優秀な右腕中村先生によるとだな、君はストレートの平均球速を110kmhのまま投げ抜いた。他のスカウトは遅すぎると言うだろう。

でも俺は違う、それで十分なんだよ。君が自分の武器を理解すればね。」

「僕の武器ですか?」気づいたら僕は完全に及川監督のペースにのせられていた。おもわず身を乗り出して聞こうとする僕に及川監督はそっと耳打ちした。

その瞬間僕は身震いがした。本当に一馬に勝てるかもしれない!


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