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異界の魔王  作者: 十六夜・多々良
第1章 魔狼と毒瓶宮と浮遊城と
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第6話 悪魔なメイドさん

昨日の分です。

 目の前の壮大な景色に我を忘れて見入っていた一人と一匹は、アリーシャに声をかけられるまでそのままだった。


我が主(マスター)我が主(マスター)

「あっ、とすまん」

「いえ。して、どちらに向かいましょう?」

「そうだな、とりあえずは倉庫のあるとこへ向かってくれ」

「かしこまりました」


 アリーシャがウィンドーを開くと、ボラル・シュロスは静かに動き出す。


「そういや、下から見られないのか?」

「大丈夫です、光学迷彩搭載ですので」

「そうか……」


 ムダにハイスペックだな、と思いつつも自分はやるべきことをやるために、|《魔喚書》《ネクロノミコン》を発動する。

 スキル《魔喚書》は、自身のMPを消費して、悪魔を呼び出すスキルだ。

 ただし、呼び出すだけなので契約出来るかどうかとか、契約せずに何かをさせるとか、そう言ったことは黒人の自由だ。

 しかも、このスキルで呼び出された悪魔は、契約に際する見返りの要求が、限りなく簡単なものになる。

 そんな破格のスキルだった。

 

「さっそく、呼び出してみるか」


 黒人が《魔喚書》を持った右手を、前に突き出す。

 右手の《魔喚書》は独りでに捲れていき、黒人の前に黒と紫の混ざったような色の魔方陣を形成する。

 やがて、魔方陣が完成すると黒人のMPがどんどんと吸い取られていき、魔方陣が黒色の光を放った。

 光が収まったそこに立っていたのは、グラマーな体型のメイド服の女性だった。

 メイド服の女性は、黒人を見ると口を開く。


「私を呼び出したのは、貴方ですか? 人間」

「そうだ、俺だ」

「何の用でしょうか」

「俺と、契約してくれ」

「分かりました」

「は? え、良いのか?」

「ええ、構いませんよ。元々、呼び出されたら契約するつもりでしたし」

「見返りは?」

「貴方の“精”を戴ければ、何も」

「は? 精?」

「えぇ、要するに。ヤらせていただきたいのです」


 メイド服の女性は、顔を上気させて告げてくる。

 今にも襲いかかって来んばかりだ。


「なんとも直球な……」


 思わぬ要求に、驚く黒人。

 その間にもグラマーメイドは、ジリジリと着実に近寄ってきていた。

 このままでは美味しくいただかれる、と感じた黒人はとりあえず止める。


「待て待て待て待て待て! 待て!!」

「何でしょうか、契約しないと?」

「いや、契約はする。するけども……!」

「何でしょうか。はっ、まさか! そこの狼に私が襲われているのを見たいと?!」

「ちっげーよ!! そこじゃねーよ! ってか、人以外もアリなのかよ……!」


 壮絶なボケにツッコむ黒人。

 心なしか、ヴォルフも若干引いているようだった。


「では、何でしょうか?」

「まず、契約をしようか」

「そうですね、してしまいましょう」


 そう言うと、更に間を詰めてくる。


「だから! 契約しようってば! 何で寄ってくんだよ!」

「何でと言われましても、契約方法が体を重ねることですので、としか」

「そうなの?! 契約方法そんななの?!」

「嘘です」

「嘘かよ! こいつサラッと嘘つきやがった?!」


 グラマーメイドによって、着々とキャラを崩されているのを感じる黒人。


「ええい! 契約だ、契約!」

「しようがありませんね」


 呆れたように言うグラマーメイドに、黒人は再度ツッコむ。


「てめぇのせいだろうが!」


 そんなこんなで、黒人とグラマーメイドは契約を結ぶ。

 互いの右手人差し指を傷付けて、少し血を出す。

 そしてその右手人差し指同士をくっつけて、契約の祝詞を唱える。


「我、アクエリアスは朱崎 黒人を主とし、一生を捧げることを誓う」

「我、朱崎 黒人はアクエリアスを従者とし、その誓いを受け取ろう」


 祝詞を唱え終わると、二人の体を黒色の光が包んだ。

 光は、黒人とアクエリアスの胸元に収束すると、黒人の胸元には紫の魔方陣となり、アクエリアスの胸元には黒の魔方陣となった。


「契約完了ですね、では」


 あっ、ヤバイと思った時にはもう遅かった。

 黒人はアクエリアスに押し倒されて、ズボンを脱がされている所だった。


「ちょっ、ちょっとまて」

「ここまで来て止めるんですか? 契約違反ですよ?」


 アクエリアスは黒人を上目遣いで見上げる。

 その頬は上気していて、扇情的だった。


「うっ、それは」

「それに、もう私は貴方のものなんですよ?」

「それは、そうかもしれんが……」

「それとも、私ではダメですか……?」


 アクエリアスは目尻に涙を溜めて、懇願するかのように黒人に問う。


「ええい、もうなるようになれ! 好きにしろ!」


 黒人が自棄になったように叫ぶと、アクエリアスはさっさと黒人のズボンを脱がし終えていた。

読んで下さってありがとうございます。


感想や誤字脱字などありましたら気軽に教えてくださーい。

待ってまーす。


アクエリアスのステータスです。↓


名前】アクエリアス

HP】 4600

MP】 5800

スキル】 毒生成、形状変化、軽業、念話、気配遮断

称号】 毒使い、毒瓶宮の魔将、暗殺者、黒人の従者

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