表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界の魔王  作者: 十六夜・多々良
第1章 魔狼と毒瓶宮と浮遊城と
7/11

第5話 まさかのラ○ュタ?!

一昨日の分です。


 六十層に現れた階段を下った黒人たちの目の前に有ったのは、THE 城と言った感じの巨大な城だった。

 その城は、高さ60mほどでとてつもなく広そうだった。

 階段が城のある地面まで伸びているようなので、とりあえず地面へと降りていく黒人たち。

 黒人たちがへ入ると、突如として声が聞こえてきた。


『ようこそ、ボラル・シュロスへ。《蒼宝の鍵》の所持を確認しました。玉座の間への転移を開始します』

「はっ?!」


 なんだそりゃ、と続ける間もなく黒人の足下に魔方陣が浮かび上がり、一瞬にして転移させられた。

 残されたヴォルフは、「クゥン?」とただ鳴くことしか出来なかった。


   †  †  †


 玉座の間とやらへ転移させられた黒人は、黒一色の椅子に座らされていた。

 

『《蒼宝の鍵》を目の前の鍵穴に差し込んで回してください』

「鍵穴……?」


 黒人が辺りを見回すが、鍵穴らしきものなどどこにもない。

 と、黒人の目の前に鍵穴が出現した。

 黒人は、倉庫から中ボスっぽいのを倒したときに出てきた、蒼い宝珠のはまった大きな鍵を取り出した。

 黒人が今まで手に入れた物の中で、鍵と呼べるのもはこれしかなかった。

 

『ボラル・シュロス本体の解放を確認しました。これからよろしくお願いします、我が主(マスター)

「何がなにやら、訳が分からん、説明しろ」


 鍵を差し込んで回すと、謎の声にマスターと呼ばれて混乱する黒人は、説明を要求する。

 まぁ、それも無理はないだろう。


『了解です。さしあたって、申し訳ないのですが私の体を出して頂きたいのです』

「は? 体を出す?」

『はい、格納庫には案内しますので』


 謎の声がそういった瞬間、またしても黒人の足下に魔方陣が浮かび上がり、黒人をどこかへと連れ去った。


   †  †  †


 連れ去られた黒人は、地面を感じて目を開けた。

 その目に映ったのは、全く同じ顔、体型、服装の少女が何体、何十体と置かれている正に格納庫と言った様子だった。


我が主(マスター)、そこら辺の体を持ってきてそこのコードに繋いでください』

「あ、あぁ」


 黒人は少し不気味に思いながらも、言われた通りに少女を運び、コードに繋ぐ。

 因みに、少女の服装は綺麗な青のドレスだ。

 コードに繋がれた少女は、ビクンッと衝撃が走ったかのように一度震えると、綺麗な青の目を開いた。

 彼女は少しキョロキョロと回りを見回すと、黒人の目をしっかりと見据えた。

 そして数回瞬きをすると、立ち上がり、華麗に一礼をして見せた。


「始めまして我が主(マスター)。私はボラル・シュロス本体の管理用人工生命体(ホムンクルス)、アリーシャです」

「おう、よろしく?」

「よろしくお願いいたします。して、説明をご所望とのことでしたが、何をご説明致しましょうか」

「その前に、さっきの玉座の間に戻って、ヴォルフを呼んでくれ」

「かしこまりました」


 今度は黒人とアリーシャの足下に魔方陣が浮かび上がり、二人を玉座の間へと転移させる。

 そこには、ヴォルフも居た。 


「では、説明を致しましょう」

「俺が聞きたいのは、これは何なのかと、どうやって作られたか、だ」

「かしこまりました。まず、この城はボラル・シュロスと言って、浮遊城です。どうやって作られたかは、私を作った人が同じようにこの城をお作りになられました」

「一人で作ったのか?」

「えぇ、お一人で。私を作った人は、それはもうすごい方でした」

「作った理由は?」

「趣味、と申しておりました」

「趣味、趣味か」

「はい。他に何かございますでしょうか?」

「本体ってことは、他にも似たようなのがあるのか?」

「ございます。ボラル・シュロスは本体の他に、倉庫、闘技場、研究所、治療院、防衛所の五つがあり、我が主(マスター)は既に倉庫と治療院、防衛所の三つの所持権限がございます」

「なに?」

我が主(マスター)から、|《貪り食う者》《グレイプニル》と|《悲哀の鞭剣》《ブリュンヒルデ》、|《神盾の宝珠》《アイギス》の反応を感じます。それぞれ倉庫、治療院、防衛所の所持権限をもたらすものです」

「そう、か。この城は飛べるんだよな?」

「はい、可能です。飛びますか?」

「あぁ、頼む」

「かしこまりました」


 そう言ってアリーシャは、黒人に一礼すると、何だか分からないウィンドーを開きだした。

 ウィンドーには、何かの数字や文字が書かれていたが、黒人にはなんのことやらさっぱり分からなかった。


「魔力供給安定、座標位置設定、完了。魔方陣生成開始。魔方陣生成28%、36%、45%、52%、68%、74%、89%、96%、100%。転移、開始します」


 アリーシャが静かに告げる。

 すると、空気がビリビリと振動し出した。


「衝撃に備えてください。転移します」

「は? っ?!」


 アリーシャの警告むなしく、黒人とヴォルフは宙を舞う。

 壁に打ち付けられたり、床に叩きつけられたりしながらも、やっと落ち着いた。


「痛てててて」

「大丈夫てすか? 我が主(マスター)

「あぁ、大丈夫だ」

「そうですか。転移は無事、成功いたしました」

「そうか、外に出してくれ」

「了解です」


 再度、黒人とヴォルフ、アリーシャの足下に魔方陣が浮かび上がり、二人と一匹を転移させる。

 一瞬の浮遊間の後に、城の外に出た一人と一匹は、言葉を失う。

 目の前に広がるのは、壮大な世界。

 大地は地平線の向こうまで広がり、空は限りなく青かった。

 太陽はキラキラと輝き、世界に恩恵をもたらす。


「すげぇ……」

「ウォン……」


 そうして一人と一匹は、アリーシャに声をかけられるまで、我を忘れて目の前の景色をずっと見ていた。









いつも読んで下さってありがとうございます。


感想や誤字脱字などありましたら気軽に教えてくださーい。

待ってまーす。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ