プロローグ One
新作でっす!
是非是非、読んで下さい!
そんで感想とか、誤字脱字の指摘とか下さい!
お願いしまーす!
「さて、勇者たちを迎えに行くとしようか」
大理石のような石材で作られた豪華な椅子に座った黒髪黒目の男が、目の前に立つ従者たちに語りかける。
一人はメイドのような格好をしたグラマーな体型の女性。
一人は九つの尾を持つ狐の耳をつけた、幼い体型の少女。
一人は右目に眼帯をし、この場で唯一帯剣している年の頃20程の女性。
一人、いや一匹は3つの蛇の尻尾を持ち2つの狼の頭を持ち、その頭の間に挟まれるようにして1つの獅子の頭を持つ全長10mはあろうかと言う異形の怪物。
彼女らは自身の主の言葉に頷き肯定の意を示す。
「了解ですわ。ご主人様」
「そうじゃのう」
「では行こう」
「グルルル、主の道は我の道だ」
「そうだな、行こうか」
黒髪黒目の男は玉座から立ち上がると、様々な暗器が隠せそうな、手が隠れる程の長さの服の裾をバサッとはためかせて堂々と歩いていく。
玉座のある部屋から出た彼らは階段を降りて階下へと向かう。
「では、我々は勇者たちを迎え撃ちます」
「あぁ、死ぬなよ」
「勿論、心得ております」
従者たちはペコリとお辞儀すると黒髪黒目の男を残してさらに階下へと降りていった。
† † †
従者たちが男を残して階下へと降りていってからどれ程経っただろうか。
時折階下より聞こえる爆音からは勇者たちと従者の戦闘の激しさが窺える。
そして、轟く爆音が止んだかと思うと男の居る部屋の扉が重々しく開いた。
開いた扉の先にいたのは、満身創痍とでも言うべき格好の四人の男女だった。
「朱崎、ここまでだ……!」
白銀の鎧を纏い、神秘的なオーラを放つ剣を持つ男が口を開いた。
「朱崎君、何でこんなこと……」
次に口を開いたのは、矢を持たず弓だけを持った神性さえ感じる美しい少女だった。
その言葉に朱崎と呼ばれた拘束衣のような服を来た男はニヤリと笑い、答える。
「何、すぐに分かる。それまで、戦おうか? そのために来たんだろ?」
「そうだな。朱崎……お前を止める!」
そう言って白銀の鎧の男は剣の切っ先を朱崎へと向けた。
剣を向けられた朱崎はそれに対して、どこからか取り出した禍々しい雰囲気の剣の切っ先を、白銀の鎧の男へと向けた。
白銀の鎧の男へと向けられた剣は、刀身に描かれたギザギザの部分からガパリと開くと、目のようなものもギョロリと刀身に表れた。
刀身に描かれたギザギザを模様だと思っていた白銀の鎧の男たちは、その異様な光景に驚いていた。
「ギャギャギャギャ! 次ノ獲物ハアレカヨ、主ィ。ナカナカ喰イゴタエアリソウジャネェカァ」
「喰うなよバカ」
「何デダヨォ! 俺ヲ呼ンダッテコトハ喰ッテ良イッテコトダロォ」
「あぁー、喰うなら装備にしとけ。聖剣以外な」
「分カッタヨ、我慢スル」
「よしよし」
目の前の光景に唖然としていた鎧の男たちだったが、気を取り直すと剣を持ち直し、朱崎へと向かって行った。
「うおぉぉぉぉっっ!」
朱崎はその剣を自らの剣で受けとめ、鍔迫り合いへと持ち込んだ。
互いの距離が限りなく近づいたその時に、朱崎は鎧の男へと語りかける。
その言葉を聞いた鎧の男は、驚愕に目を見開く。
† † †
朱崎 黒人はいつものように朝早く学校へ行くと、購買部へ寄ってから教室へと向かう。
二階にある自身のクラスへ着くと、後ろ側のドアから教室へ入る。
まだ朝早い時間にも関わらず、しかしいつも通り教室には四人の男女が居た。
彼らは黒人にはチラリと目を向けただけで、すぐに興味を失ったのか、話へと戻っていった。
黒人はそんな彼らへ目を向けることすらせず、一直線に自分の机へと向かい、荷物を片付ける。
荷物の片付けを終えた黒人は机から取り出した本を読み始める。
元々黒人は本を読むのが好きだった訳ではない。
好きになった、が正しい。
黒人が11歳の頃、家に押し入ってきた強盗に両親を殺され、それから人を遠ざけるようになった。
本を読んでいれば人と関わらずに済むし、下らない日常を忘れていられることができる。
だから、本を好きになっていった。
高校に入ってからも人を遠ざける癖は変わらず、朝早くに家を出て、静かな教室で本を読んでいた。
しかし二年生になってから、そんな黒人の日常に闖入者が表れた。
同じクラスの男二人女二人の男女四人だ。
一人の男は、クラスのリーダー的な存在の滝本 悠哉。
もう一人の男は、悠哉の幼馴染みの磯山 信太郎。
一人の女は、黒人の高校の二大美女として名高い東雲 結香。
最後の一人は、結香と同じで二大美女の一人阿佐ヶ谷 久留美の四人だ。
四人は黒人より朝早く学校へ来ると集まって何やら話している。
まぁ、他人に興味のない黒人からすればどうでも良いことなのだが。
黒人が本のページを捲ろうとしたその時、教室の床が突如として光輝き始めた。
よくよく見てみれば、光っていたのは床ではなく、床に現れたいわゆる魔方陣だった。
その光景に教室にいた黒人以外の四人も驚いたのか、ガタガタと椅子を倒しながら立っていた。
その音に五月蝿いなと思いながらも黒人は冷静に観察していた。
黒人はジャンル問わずに様々な本を読む。
絵本でも、参考書でも、学術書でも、児童書でも、ライトノベルでも読んだ。
今までに読んだ膨大なライトノベルの中には当然、異世界召喚ものもあった。
故に、今現在自分がおかれている状況もすぐに察っすることができた。
ーーあれか、異世界召喚か。
黒人が答えに行き着いた瞬間、目の前が真っ白になって意識を失なった。
† † †
次に黒人が目を覚ますと、辺りには真っ暗な闇が広がっていた。
黒人は自分の状況を確認すると、どうやら椅子に座っていることが分かった。
しばらく辺りをキョロキョロと見回していると、不意に頭の中に直接声が響いた。
『やぁ、目が覚めたかい? 少年』
「誰だ」
『僕はね、邪神だよ。じゃ・し・ん』
「それで、邪神が何の用だ」
『君にね、やって貰いたいことがあるんだ』
「何だ」
『世界征服をね、ちょっと』
「言うことを聞かなければ、消すか?」
『はははっ、良く分かってるじゃん君』
先程までは陽気な印象を受けたその声音だったが、次の瞬間にはガラリと雰囲気が変わった。
『断れば、消すよ。魂すら残さず』
その言葉に嘘偽りはない。
黒人は瞬時にそう悟った。
しかし、またすぐに雰囲気が変わってしまった。
『でも、やってくれるなら、色々とスキル上げるよ?』
「断れば消され、承諾すれば優遇か。拒否権なんてないじゃないか」
『そ、だから頼むよ。世界征服を、さ』
「分かったやろう」
そうして黒人は、拒否権のない取引に応じて世界を征服することとなった。
† † †
邪神と出会ってまた意識を失ってしまった黒人が目を覚ましたのは、邪神の時とは打って変わって明るい場所だった。
そして、そこでも黒人は椅子に座っていた。
そんな黒人の前に現れたのは、神秘的な雰囲気の一人の女性だった。
「初めまして、朱崎 黒人さん。私は___の____です」
「なに?」
「先程の事について、お話が……」
………
……
…
「成る程……」
目の前に現れた女性の話について、黒人は顎に手を当てて考えていた。
「どうでしょうか……」
黒人の前には、不安そうな顔をしている先程の女性。
「良いだろう、やってやる」
「本当ですかっ?!」
黒人のその返答に、彼女は嬉しそうな声をあげた。
「あぁ。大体、癪だったんだ、勝手に命令して」
「ありがとう、ございます。それでは、これで」
そう言うと彼女は黒人が答える暇を与えずに何処かへと消えてしまった。
† † †
神秘的な雰囲気の女性に出会った黒人は、今度は固い床の上で気を失っていた。
目を覚ました黒人は状況の確認を始める。
回りには四人のクラスメイト。
倒れていたのは何処かの建物の中のようだ。
先程までの良くわからない場所ではない。
黒人がそこまで確認したところで、他の四人が目を覚ました。
そして、待っていたかのように一人の女性が入ってきた。
「初めまして、勇者様方。トルヴェン王国第一王女、フェリーナ・ルルス・トルヴェンですわ」
そう言った彼女はドレスの裾を摘まみ、華麗に一礼して見せた。
読んで頂いてありがとう、ございます。
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