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七美の章 2

桜樹七美。俺と同じ16歳。

俺に巻き込まれる前まではとても明るくて優しかった七美。

彼女の人生は俺が狂わせた。


ある時を境に七美はおかしくなってしまった。情緒不安定というか…こう…まるで、誰かに操られている…という感じ。

俺にはやはり死んでも償いきれない責任を、彼女に対して感じている。が、結局全ては過去の話だ。

今の桜樹七美は、俺の知る桜樹七美とはかけ離れていた。

七美が住んでいるのは、学校のある丘のふもとの一軒家だ。基本この街では家すらも空いていれば勝手に使うことができる。実際、俺もそうしている。

スーパーマーケットや洋服屋。それらには常に品揃えは絶えない。ここに貨幣の概念は無いから自動的に盗むという手しかなくなる。

つまり、生活必需品ならなんでも手に入る、ということだ。いつ怪物に襲われるかわからない環境ではあるが、最期を過ごすにはもしかしたらいい場所なのかもしれない。

「丸藤」の表札、それが桜樹七美の住む家だ。

いつも通りにインターホンを押すと、気だるげな声が聞こえてきた。

『…りゅーせー?』

「そうだよ」

『………あいてる』

不用心なことに、七美はいつものように、鍵を開けたままにしていた。鍵を開けていようが閉めていようが、バリケードとしては役には立たないかもしれんが、閉めておいた方が精神的には安心できるだろうに。

七美はいつものように廊下の奥にある、リビングのインターホンの近くに座っていた。捕まった時と同じ、制服を着ている。着ているというのはおかしいかもしれないくらい、はだけているのではあるのだが。

肩が露出しており、ソックスは脱げかけ。おまけにスカートは履いていないから下着は丸見え。風呂にも入ろうとしないから汗と体臭が混ざって七美からは異臭が漂っていた。

目には生気はなく、どこか虚ろを見つめているような。そんな目でこちらをみてくるのだから、たまったものではない。

「風呂ぐらい入れよ」

「めんどい。」

七美に何を言っても無駄なのは分かっていても、なにか動いてくれると思って話しかけてみても、これだ。

俺が、こんな七美を作り上げてしまったのだ。そう思うとやはり、自責の念が出てきてならない。

「食いもん取ってこようか」

「お願い」

「なにか希望あるか」

「ない。」

3日分の食料。それを七美の元へ届けるのも俺の役目だ。

一年前から豹変した七美から目をそらしたくなって、俺は早めに七美の家を出た。

あんなに人を殺したのに、こんなにも弱い自分が、情けなかった。

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