第4歩:選択肢と勝者と敗者。
よし、この回が終われば、ギャク回を増やせるぞ!(ぇ
何やら喉に物が詰まったまま、かといって窒息すら出来ない中途半端な気持ちのまま教室に戻る。
オレには経験がないのも原因があるんだろうが、こんなにも悩むのは彼女のせいだとそう割り切ってしまえば楽なんだろうなぁ・・・。
と、どう考えてもゲスな匂いしかしないのでやめた。
教室に戻った時、自分の席で未だ一人で黙々と食事を摂っている彼女を見てしまったら余計に。
男のオレ達と違って、女子は食事の速度が遅く長いんだなとアホな考えよりも、彼女が一人で食事をしている姿の方に気を取られた。
彼女は毎日こうなのかも知れないし、もしかしたらオレと一緒に食事を取ろうと考えていたのかも知れない。
午後の授業が始まっても、オレに居心地の悪さを残し続けながら。
昼休みが始まった時、もしオレが彼女の呼びかけに応えていたら、あんな光景は見なかったんだろうか?
(ア・イ・シ・テ・ル)
そんな考えとは関係なく、午後も彼女からの熱視線は続いている。
ただ彼女が午前と同じように熱烈な愛の言葉まで発していたのかどうかは不明だった。
何故なら、オレ自身が授業中一度たりとも彼女の方へ視線を向けなかったからだ。
「悪い。今日は用事があって急いでんだ。」
お陰でそんな嘘までつく事になったくらいだ。
家に帰ったところで、何があるわけじゃない。
時間を作る為だという建前を持った、ただの"逃げ"だ。
それくらいを自覚する程度の恥とか外聞とかはある。
「そうか。ならば仕方ないな。」
彼女はあっさりと引き下がってくれたが、やはり何処か不安・不満そうだった。
ちなみに家に帰ってする事といえば、宿題と・・・持っている携帯ゲームの新作、『貧乏少女と復讐者』くらいしかない。
まぁ、新作といえば新作なので、ゲーマー的な見地からすれば、寝食の時間を削ってまでやってしまうものだろうから、急務な用事になるのかも知れないが、生憎、オレはそいう程でもない。
個人的には、このゲームはアニメ化などという最近の流行りに乗らず、書籍化くらいで止めて欲しいところだ。
出来れば、某・鳥の人辺りで・・・と、取り留めなく思うくらい。
こんな風にして、彼女の事を考えないようにしている時点で、オレは彼女を事をそれくらには気にしているんだと思う。
そして、少し知りたいと思っている。
興味がある。
・・・ってコトなんだろうか・・・。
困った、非常に困った。
これは本当にペースが狂う。
狂ったペースは自宅に帰って自分の部屋のベットで一息ついても変わらなかった。
「参ったな・・・。」
それしか口に出てこない。
そんなオレの横で帰宅のタイミングを計ったかのように携帯が鳴り出した。
ディスプレイには"ケイスケ"の名が表示されている。
まぁ、オレにわざわざ電話してくるのは、ケイスケぐらいなもんで、ダイも家族も短文メールが来るくらいだ。
「何の御用で?」
開口一番。
もしもしも、名乗りもなくオレはケイスケに言う。
「長々と説明するのと、一言で端的に話すのとどっちがいい?」
向こうも名乗る事なく開口一番の選択肢だ。
もし、これが他人とかだったら、ちょっとした恐怖電話じゃねぇか。
「個人的にはその中間で頼みたいが、短い方を聞いてから考える。」
「彼女にメアド教えていい?」
「・・・。」
固まった。
あまりにも端的過ぎて、見事に。
頭を回転させる気力もない。
「何故そうなった?じゃねぇ、彼女ってのは・・・?」
どう考えても・・・。
「金城女史以外に何か心当たりが?まさか、他にも女性の影が?おとうさーん、イツキが不純な道を・・・。」
「ないない。」
すげぇ棒読みじゃないですか、ケイスケさんよ。
コイツはどんだけ、オレに今までのロンリーヒストリーを語らせたいんだ?
「それは置いといて。」
あっさりと切り返した。
ケイスケの声に変化は何もない。
相変わらずのクールさだ。
「単純に心配だったんじゃない?」
「家に帰るだけなのにか?幼児の一人でお使い企画じゃないんだぞ?」
「それか、面と向かって言い難い事でもメールなら伝えられるからとか?」
「彼女がか?」
あんだけ自分の気持ちにストレートなヤツが言い難い事があるなんて、オレには思えない。
「イツキが。」
「・・・オレかよ。」
「こっちなら心当たりあるでしょう?」
うぐっ。
まさにその通りで帰宅しているのだから、返す言葉もなく・・・ないんです。
「彼女はちゃんと覚悟出来ているみたいだね。」
「覚悟か・・・。」
「イツキに嫌われるくらいならって事だろうね。」
選択肢は二つしかない。
YESかNOか。
天と地程の差はある。
でも、彼女にとってはそれは問題ではない。
NOだからって、一切を失うワケじゃない。
友達というカタチだってある。
彼女にとって、相手に嫌われる事だけは耐えられない。
ストレートに自分の気持ちを言える彼女が。
怖いものなどないように自信を持って胸を張った彼女にとって、それが一番怖い事・・・なのか?
「なぁ、ケイスケ?」
「ん?」
「彼女は凄いなぁ。」
「あのね、イツキ?それが解ってるなら僕は何も言わないけど、僕、一番最初に彼女そういうトコロは評価出来るって、昼に言ったはずだよ?」
その通りだ。
流石、我が友人、見る目が高い。
高過ぎて、少々ブッ飛んでいるが。
「どうせ教えるなら、彼女には自分の口から教える事にするわ。」
「そう。」
ケイスケはそれ以上、何も言わずに電話を切った。
唐突過ぎるように思えるけれど、ケイスケは何時もこんな感じだ。
用件が終わったら、すぐさま切る。
(それにしても・・・。)
色々と面喰って慌ててたんだろうな、オレは。
それこそ、彼女やケイスケが心配するくらいに。
考える時間が欲しかったのは本当の事だ。
でも、それが彼女を避ける理由にはならない。
そして、オレが彼女を傷つけていい理由も、不安にさせていい理由もないんだ。
だってそうだろう?
彼女はオレにも自分にも充分に誠実だったんだから。
「全く・・・物好きなヤツだな・・・。」
オレは一人で昼食を取っていた彼女の横顔を思い出していた。
一人でそうする事に、慣れ切ったように見えた彼女の横顔を。
ちなみに私は今、モンハンで削ってます、色々と。
それと某・鳥の人には突っ込むと突かれますので、ご容赦を。
嘴痛いから(なら書くな)