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がしゃん。
受話器を、足元に落とした。
嘘だ。だって、花音は、昨日まで……。
足元に落とした受話器から、私の名前を呼ぶ真奈の声が聞こえる。
それでも私には、受話器を拾い上げる余裕なんてもう無い。
そこから、なぜか私の記憶は飛んでいる。
***
気が付けば、もう花音のお葬式だった。
着たくもない黒い服を着て、聞きたくもないお経を聞いて、
…見たくもない、花音を見てしまう。
首吊りはグロいらしいけど……思ったよりも、綺麗な死に顔だった。
そう、まるで眠っているような。
彼女が遺した、私宛ての遺書を、ぐしゃりと握り潰した。