表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Proving Ground  ~喪失と融合の世界~  作者: 時雨 彰弘
序章:開拓地(フロンティア)と呼ばれる世界で
9/9

第9話「学園は常に波瀾万丈」

「ねぇ、セラ」

「なんだ?」

「友達っていいね」

「まぁ、そうだな」

「それより、この視線って……」

「間違いなく、俺と普通に喋っていることが原因だと思うぞ」

「なんで私とセラが喋ったらこうなるの?」

「肩書きが重要だ。というか、既にミルの人気が高いみたいなんだが?」

「そんなことないわよ」

「そんなことがあるから、こうして見られてるのだと思うぞ」

「そうなのかな?」

 現在、最初の休み時間。武器やら何やら持ち込んでいた皆は現在、拳サイズの道具『アレイ』と言われる学園専用持ち運び装置によって非常に身軽になっていた。

 この『アレイ』という装置は学園内でのみ物質の収納が簡単にできるシステムなのだ。原理は非常に難易度の高いとされる転移魔法を魔法陣で利用ものである。転移魔法は何の準備なしでは転移距離に比例して基本からして多い魔力消費が増えていく上、転移対象が物体ならば難易度が少し下がる。これを逆転の発想で学園内でのみ物体の転移が出来るようにしたものなのだ。とは言っても、各自のロッカーに転送出来るだけなので、別空間に入れるとかそういうものではないと言っておく。簡単に言えば、学園に敷かれた魔法陣によって稼働する端末、ということなのだ。さらに欠点があり、学園用に簡略化した結果、学園内のみでしか使えず、かつ、転移に使う魔力は自己負担である。つまり、転送しにくいものほど魔力が必要となるため、才能などがなく、実技で武器頼みの生徒はこのシステムを利用しにくいとも言える。

 話が脱線してしまった。とにかく、私はセラと喋っていたら、現在周りの男子の視線が全員私達に向かっている形になる。どちらかといえば、セラだと思うのだけれど。

「とりあえず逃げよう。今決めた。俺、昼休みは絶対にここから逃げる」

「どこに行くのよ?」

「ここで言ったら、追いかけられかねないから言わない」

「私は言わなくても追いかけるわよ?」

 この瞬間、クラスでどよめきが起こった。何か変なこと言ったかな?

 そんなことを考えたらセラに頭を軽くはたかれた。

「その言葉は誤解を招くからやめろ。ただの友人なのに、まるで恋人みたいじゃないか」

「こ、恋人って……」

 セラと私が恋人……うん、間違われてもいいわ。むしろ事実にしてしまって良い!

「あのー、ミルさん? 大丈夫ですか、おーい」

 セラが馬鹿にしたような敬語を使っていても気にしない。良い夢よね〜

「セラと恋人……いいなぁ」

「!?」

 セラがびくっと震える。私……しまった、つい本音が出てしまってる!? どうしよう、どうしよう!?

「おい、ヴレイヴス。ちょっと外、出ようか?」

 近くの男子がセラの肩に手を置き、外を指す。なぜか既に男子全員が臨戦態勢だった。

「……ミル、命の危険が出てくるから、ここでからかうのは今後やめてくれ。これはやり過ぎだ」

 セラがやれやれという感じで席を立ち、男子に付いていく。

「あ、あれ? やり過ぎた、のかな?」

 私は若干勘違いされたことについてショックを受けていた。が、そんなことは一瞬だった。

 そう、セラが教室を出てすぐに爆音がしたからである。まず間違いなく、この爆発音は魔法の類である。

「男子、すさまじいね」

「うん、まぁ、既にアイドルと化している人を独占してたらこうなるでしょ」

「実際のところ弱そうなのに目立つことするからこうなるんじゃないの?」

「あ、それ言える―」

 残された女子から口々に散々な評価を出されているセラ。なんか嫌だなぁ……

 でも、よく考えれば、昨日のあの一件がないと私もこうなっていたのかもしれない。そう考えると、セラがわざとやっている可能性すらあると思う。

「おい、逃げたぞ!! 追え!! 地の果てまでも追いかけて叩き潰すぞ!!」

「合点承知!!」

「天誅をあいつに!!」

 口々に叫びながらセラが逃げたらしい方向へ走って行く男子達。その動きで土煙が舞ってるようにすら錯覚してしまう。そもそも、セラ、逃げるとはまた古典的ね……ある意味仕方ないのかもしれない。

「うわー、あれはすごいね」

「うん、すごい」

 残った女子の反応はもっともだと私だって思う。まさかあそこまで男子がやるとは思ってもいなかった。だからこそ、セラが逃げ出すのも分かってしまうのだ。

 そう思っていたら、始業のチャイムが鳴っていた。利口な男子が一人戻ってきたみたいだけどこれはどうにも男子ほぼ全員遅刻扱いになりそうね。セラも、残念だけど……って、今、教室に入ってきたのって!!

「あー、なんなんだ、ったく。時間考えてやれと言いたいな」

 逃げたはずのセラが戻って来ていた。ちょっと、いつの間に!?

「……なぜだか視線で痛い気がしてきた。俺が何をしたと?」

 セラは頭が痛そうにこめかみに手を当て始めていた。

「ちょっと、セラ!! どうやったの!?」

 そんなセラをそっちのけで私は方法を説明してもらうべく、他の女子を差し置いてセラに詰め寄る。だって、他の女子がちゃっかりセラに近づこうとしていたから、つい、ね。

「……ああ、そういうことか。説明するから、慌てるな。簡単に言えば、身代わりだ」

 私の一言にセラが納得できる解を得たようにして、説明してくれる。むしろ、普通にアレを振り切ってきたら注目するでしょうに。ただ、その方法がよく分からなかったので、私はそれを聞くことにした。

「身代わり?」

「そう、身代わり。これで代用した、な」

 そう言って、セラは一枚の札を出してくる。

「札? それでどうやって……」

「幻術ってものが魔法であるだろ? それを符術で使用した。とはいえ、場合によっては知覚を奪うことで完全に再現できるように思わせてしまう幻術に比べ、あくまで真似事だから、そんなに高性能じゃない。だから端から見ても実体はないし、持って五分だろうけど、あいつら血が上ってたから、これぐらいで間違えてくれるわけだ」

「それって大変なことじゃないの?」

「当然、これ一枚作るだけでかなり時間かかる。とはいえ、何となく必要そうだと思って、持ってきておいて正解だったな」

「ちょっと、いいの? そんなもの使って?」

「良いも悪いもないだろ。ミルと俺が普通に話すだけで嫉妬され続けることは間違いないし、採算度外視にしておかないと命が危ない」

 セラは苦笑いしながら席に戻って行く。

「ほら、ミルもさっさと席に戻る。身代わりを追いかけていった男子には悪いけど、授業の遅刻者には罰があるらしいから、大変だな」

「……うん、そうだね」

 私は、少し戻るのを迷っていたけれど、先生が教室に入ってきたため、少しだけ慌てて席に着いた。


 ちなみに、セラを追いかけて行った男子全員は授業半ばで諦めて帰ってきた。ただ、その処罰は、幻術に対する対処法についての考察をするという、ユーモアに富んだ処罰だったとだけ追記する。


***


 そして、昼休みどころか、放課後。移動教室での本日最後の授業の後、それは起こった。

 昼休みにはセラが追い回されて、私もセラと一緒に走っていた以外に特に何もなかったのだ。もっとも、それが別段何もなかったと言って良いのかは分からないけれど。

 ひとまず、ラブレターっぽいのが目の前にある。恒例の下駄箱ではなく、下駄箱がないので机の上に置いてある一通の手紙。

『ミルフィリア・レムクラン様へ』

 この短期間でラブレターというのはどうだろう?

 色々と思うところはあるけれど、ひとまず中に目を通す。そして、思ったことは簡単だった。

「なにこのラブレター?」

 書いてあることは基本通りのラブレターである。それだけに、恒例パターンの校舎裏に来てほしいというもの。

 セラに聞いてみようかな、などと考えて、セラの方に目をやると、セラは近くの女子と楽しそうに話している。

 そう、セラは一応知識重視型で入学しているだけに、知識型授業では間違いなく主席レベルなのだった。今日の授業を通して、そこだけは隠す気が無いらしかった。つまり、授業の演習なんて簡単なことと言わんばかりに瞬間的にこなしてしまう。そして、空き時間には、わざとらしく渡されたばかりの教科書を広げてそこにメモ書きを加えていた。それもものすごいスピードで。その行動に気になった教師は、そのメモを見た後に授業に来なくていいとまで言う始末なのだった。実際のところは何しに学園に来ているのかすごく気になるけども、それよりも頭が良い、ということが大きなポイントなのだ。加えて、男子との鬼ごっこに対してまだ二度しかやっていないとはいえ、逃げきったという実績があるため、女子の中では株が急上昇。私という者がありながら、この態度はどうかと思う。確かに付き合ってはいないけど、一応、事故とはいえ、口づけした仲なのに……

「どうした、ミル?」

 苛立っていたら、セラが目の前に来ていた。いけない、いけない、何事も無かったようにしないと。

「な、なんでもないわ。そう、何でもないの」

「……誤魔化すのが下手だな。何か呼び出しされたんだろ、行くか行かないかは自由にしろ、俺はその意志を尊重する」

 セラの反応は淡泊なものだった。何よ、もう少し反応合ったって良いじゃない! 本当に私に興味ないのかな……そうだ、これに行くって行ったらどんな反応するのかな。

「いいわ、行くわよ、言ってあげようじゃない。一人で行くから、気にしなくていいからね」

「そうか。なら行ってこい。気に入る人だと良いな」

 そういうセラはさっさと教室を出てしまう。

「あ、ちょっと……」

 少しだけ戸惑った後、そう言った時にはもうその場にセラはいなかった。

 もしかしたらそのまま待たずに家に戻ってしまうかもしれない。一緒に帰ることも出来ないと考えると少し胸が痛くなった。

 でも、セラが私のこと振り向かないから悪いのよね、うん、そうに違いないわ。だからセラを後で困らせてあげるんだから、覚悟してもらわないと!

 その開き直った考えが間違いだったと知るのは、すぐ後のことだった。


***


「えっと、場所間違えたのかしら?」

 ラブレター指定の場所には数十名の学生がいた。私が来た瞬間、取り囲むようにして陣取る。

「ああ、合ってるよ。さて、どうする?」

 今日は特に実技もなかったので相変わらずまともな武器など持ってきていないし、この人数相手には、私一人では多勢に無勢でしかないのもまた事実。

「どうするって、何を? そういえば貴方、見た覚えがあるわね。悪いけど、私は貴方と婚約なんてする気はないからね。」

 そう、リーダーと思われる男は私より二歳ぐらい年上の婚約者候補だった気がする。一々覚えてはいないけれど。

「それがね、君がそれを認めてくれるようにこの人数を集めたんだ。君が許可しなかったら回して楽しもうかと思って」

「……貴方、下品ね」

「結構、結構。その顔を快楽漬けに堕とすのも楽しそうだ。覚えとけ、俺の名前はカーツ・ベルグラウンドだ」

「ごめんなさい、私は興味ない人の名前を覚える気もないの。それに、そんなに私は安くないわよ?」

 少し身を引きながら私は答える。そう、こんなところで純潔を失ってたまるもんですか。もう、私は誰が好きになったのかわかっているのだから。セラに初めてを捧げてしまうどころか、全てを晒したっていい。それぐらい、何故か惹かれているのも事実なのだ。

「そうかい、それじゃ、やっていいよ」

 男の一言で周囲の男達が同時に襲って来ていた。けど、これくらいなら。

「《火炎球ファイアボール》」

 私は詠唱破棄の魔法を名も知らない取り巻きの男達に一気に叩き付ける。正直、これぐらいなら私でもなんとかなる。だが、それは自惚れであったことを気付かされた。

「かかったな?」

「何を言って……きゃ!? 《障壁シールド》!!」

 《反射リフレクト》か何かで反射された私自身の魔法が・・・・・・・私に向かってきたのだ。とっさに、《障壁シールド》を展開したことで、ダメージそのものはなかったけれど、これが致命的になってしまう原因になった。

「予想通りだ。《拘束バインド》」

「っ、そんなっ!」

 《拘束バインド》は相手がその場に居続けなければ当たることがない使いにくい魔法。だから普通は相手が動けなくなってから使う。だから、こんな順を立てられた。

「《障壁シールド》が発生している場所は移動もままならないからね。こうもうまくいくとは思わなかったよ」

 防御しないといけない、けれどそれも相手の予想の内。こうも簡単にやられてしまったことに私は二の句が継げなかった。《障壁シールド》の解除が間に合わなかったのも事実だが、私の自信が無くなっているのもある。

「さて、それじゃ、ご開帳といきますか!」

 ニヤニヤしながら奴らはやってきた。こんなの、こんなのってないよ……

「嫌、嫌よ。助けてよ、セラ……」

 私はそんな声を出すしかできなかった。セラが来てくれるはずがないのに。

「は、誰に助け求めてるんだ? ま、無駄だがな。一人でどうにかなる俺たちじゃない」

 だが、こんな絶望を前に雰囲気にそぐわない声が聞こえた。

「獲物の前に舌なめずり、三流だな。三流はそれらしく散る運命らしいぞ?」

 諦めたこともあって、ふいに聞こえたその声のした方を見れば、セラがいた。

「セラ!!」

「ったく、もう少し自分の危機を理解しろよ? 護衛頼んだ意味なくなるだろ?」

 セラが余裕と言わんばかりの雰囲気を出しながら、私に向かって歩いてくる。そういえば、周りが全員動けなくなっているようだ。そして、私の隣に立った後にセラが私に掛けられた《拘束バインド》を解除してくれた。どうやったらそんなことが出来るのか分からないけれど、簡単にやってのけた。

「な、なんだ、一体何がどうなっている?」

「彼女を中心に半径二十メートル、敵性のある者の行動を物理、魔法両側面で拘束させてもらったんだ」

「……そんなことが、おまえに出来るわけがないだろう」

「普通にやったら出来ないな。だが生憎、俺には陣を作る時間があった。知識だけはあるから、時間さえあれば陣を構築することは出来るんだ」

 頭を指さして説明するセラを見て私は納得した。だからセラはさっさと教室から出て行ったんだ。罠を張るために、このためだけに。

「おまえ、これで勝ったつもりか?」

「まだ勝ってはいないさ。いや、これで終わりかな。担当者が来たらしい」

 セラが後ろに親指を向けると、先生達が来ていた。

「貴様ら、学園内で資産家に手を出そうとした件で引っ張らせてもらう。そうでなくともこれは重大な犯罪行為だ。覚悟を決めるんだな!!」

 言うと、先生達は丁寧に生徒達を一人ずつ拘束し、連れて行く。いつから見ていたのか、でも、これで終わりそうなので一安心した私がいた。

「な、馬鹿な。こんなに早く、来るなんて、そんな馬鹿な!!」

 などと、リーダーは喚いていたが、後の祭りだろう。少なくとも彼はこれで人生は終わったも同然だということだけは確かだった。それほどまでに学園の処分は厳しい。

「ご苦労、ヴレイヴス。しかし、よくこんな術式知っていたな?」

「昔、本で見たことがあるんです。なんとなく躍起になって覚えたものがここで役立つとは思いませんでしたけどね」

「そうか。だが、これは誇って良いだろう。ヴレイヴス、実技の点数にはいくらかおまけしておこう」

「ありがとうございます」

 先生はその言葉を最後にすぐに去ってしまった。

「……あの、セラ、ありがとう」

「ふざけるな」

 セラが怒気を露わにした声で言ってきた。こちらに近づいてくる。

「一応、歯、食いしばれ。もしくは、少し我慢しろ」

「え?」

 呆けた瞬間だった。乾いた音と同時に左頬に衝撃が来たのが分かる。すごく、痛かった。セラがはたいたのだろう。

「何故準備もしなくて一人で行こうと思った。一人で出来ないならば意地を張るな。自分が不幸になった時、誰かが悲しむ可能性を考えろ」

「私は、ただ……」

 ただ、セラに気にしてほしかっただけなのに。

「ただ、じゃない。恋文見て、はしゃぐなとは言わない。君が幸せになるチャンスでもあるのだから。だが、君に何かあってみろ。悲しむ人がいるはずだ」

「私は……」

 きっとリアとセレスは悲しむだろうけど、それでも、セラに気にしてほしかった。嫉妬してほしいとすら思ってしまう。つまらない意地でも、そう思ってしまった。

「俺は君の友人だ。だから言おう。つまらない意地と、明日を秤に掛けるな。君の幸せが他の人の幸せに繋がっていると言うことはその逆もあるんだ」

 私は何も言えない。本当につまらない意地で、セラがいなければ何かあったと言って間違いなかったのだから。

「近くにいた先生達に感謝するんだな。おかげでさっきの陣が作れた。そうでなければビンタ一回じゃ済まさなかった」

「どういう、こと?」

「こんなことで本気出すわけにはいかないんだよ。だから、もっと仕事が増えてた可能性があるわけだ。最善策で済んだだけ、これで終わりにするが、反省しなかったら次はこんなものじゃ済ませない」

 でも、セラの本当の気持ちってなんだろう? なにか、私のために怒っている訳じゃない気がしてくる。どちらかというと、自分自身に怒っている、そんな気すらした。

「ねぇ、一つ、聞いて良い?」

「なんだ?」

「セラは、私が不幸になったらどう思う? 悲しむの?」

「言わないとわからないか?」

「……そうよね、セラはやっぱり、他人なんだもんね。悲しむわけないよね」

「そんなに、もっとビンタ食らいたいのか?」

「だって、わたしは!」

「あのな、友人が辛くて嬉しい人なんていない。少なくても、それは友人じゃないんだ」

 セラがまだ軽く痛む左頬に手を当ててくる。そして、また、あの優しい顔を見せてくれた。

「その痛みは今回の俺の心配した分だと思って受け取れ。もっとも、痛さは体じゃなくて、心に刻まれたからもう十分だろう」

 セラが《回復リカバー》でも使ったのだろうか、痛みが一瞬で引いたのがわかった。

「セラ、私は、その」

「俺を困らせるなら、もう少し別の事で困らせてくれ。こういうのは面倒だ」

 セラはそう言って立ち上がる。その雰囲気には、もう怒っている様子はなかった。

「もし、困らせるならどういうことがいいの?」

「できたら困りたくはない。だけど、弱さを人に見せることが悪いとは言わない。素直になることが悪いことじゃないから」

「なら、私、正直になってもいいのよね?」

「いきなり何言ってるんだ? 正直になるのは良いけど、目の色変えるのはなんか違うと思うぞ」

 セラがやれやれと手を上げる。もう、なんか後先考えたくなくなった。もう、ここでセラを離さないことにしよう。

「セラ、ごめん。これが私の正直な気持ちだから、受け取って」

「おい、何言って」

 私はセラに飛びかかり、セラにキスをした。

「やっぱり駄目。セラ、離さないから」

「……本気か?」

「本気よ。セラは私の騎士ナイト王子プリンスなんだから」

 そう、よく考えれば、はじめからこうしておけば良かったのだ。そうすれば、セラだって、なんらかの反応が返ってくるのだから。

「少し物事考えてから行動しような。とはいえ、返答するならば、俺はまだミルに惚れた訳じゃない。せいぜい、俺を惚れさせてみろ」

 軽いため息をついてセラは私を離して、歩きだす。これは、手強いわ。でも、諦めないから。

「セラ、ちょっと待ってよ!!」

 私はセラの腕に自分の腕を絡めるようにする。

「待たない。俺は調べ物が一切出来てないんだ。今からでも俺は図書館に行きたい」

「それじゃ私も行く」

「やめろ、って言っても聞かないだろうから、勝手にしろ」

 セラの口調は呆れながらも少し、なぜか照れ隠しのような感じがした。なぜなら、私の腕を引き離す気が感じられなかったから。

「うん♪」

 私はセラの腕に絡んだまま、至福の時間を味わっていた。




 この後、時間ぎりぎりまで図書館でセラは調べ物をして、帰った後に二人にこのことの報告をしたりした。

 覚悟しててよ、セラ。絶対振り向かせてみせるから!!


時間が足りません。正直、ありませんorz


とか言いつつ、割と長くなってしまいました。(この時点では最長)

文字数としてはどのくらいで一区切りつくのでしょうね……?(滝汗

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ