白馬の王子様的な
俺のジョブ、『魔物使い』。
最初にこれを選んだときは、今ハマってる某RPGの主人公みたいだってワクワクしてたんだ。
でも、実際なってみたら……なんか、思ってたんと違う。
レベルは4に上がったが、覚えたスキル――『魔物雇用』『魔物鑑定』『魔物教育』――は、どれも微妙に違和感がある。
なんつーか、俺の知ってる普通の魔物使いっぽくなくね?
「『魔物鑑定』は分かるよ。これはまだ魔物使いのスキルって言われても、まぁ納得できるし。でも、あとの2つが謎すぎるだろ」
『雇用』に『教育』って。
いや、仕事か?
俺は人事担当者か?
普通の魔物使いのスキルって、『調教』『支配』とか、せめて『テイム』じゃねぇの?
戦って弱らせて、向こうから『仲間になりたそうにこちらを見てくる』のが定番だろ!
それか、捕獲用のボールとか投げて捕まえるタイプとかさぁ!
なんで俺、魔物に『雇用条件』を提示して、双方の合意で契約してんの?
いや、仕事か?
俺はライン工だっつってんだろ!
「ゴブ!」
「あぁ? そんなことどうでもいいからスキルの詳細見せろって?」
「ゴブゴブ!」
「ちょ、分かった分かった! 頭を近づけんな!」
「魔物教育」の詳細をゴブ太郎にも見せてやる。
ゴブ太郎は「ゴブゴブ」となんか納得したように頷いているが、こいつ日本語読めんのかよ。
「……こいつもこいつで謎だよなぁ」
ゴブ太郎の強さとか頭の良さも謎だし、そもそも魔物って何だよっていう。
「うーん、そこを気にしちゃうとなぁ……」
俺みたいなモブがいくら考えたって分からないし、分かったところでだから何っていう。
もう話が進まないし、そういうもんだと思って割り切ったほうがいいんだろうけど……。
うん、ここで悩んだってしょうがない、分からんことはあとで有識者にぶん投げよう。
SNSで終末世界のスレでもなんでも探して、誰かに聞きゃいいだろ。
気を取り直して、スキル『魔物教育』の詳細を読むと、『業務遂行に必要なスキルを習得させる』とある。
「いや、だから業務ってなんだよ……」
他にも「信頼ポイント」とかいう新しいワードも出てきてるし、詳細読んでもイマイチよく分からんな。
「ゴブゴブ、ゴブ!」
「え? 早く教育を受けさせろって? どういうこと? 何言ってんだ、お前?」
ゴブ太郎がスマホを奪い取る勢いでグイグイくる。
耳元で「教育、教育!」ってうるさいし臭い。
なんだ? 『魔物教育』をやればいいのか?
ゴブ太郎との意思疎通は、なんとなくフワッとしたイメージしか分からないから、何を言いたいか要領を得ない。
どうせなら、いっそ言葉喋ってくれりゃいいのに。
なんで地味に不便な仕様なんだよ。
でも考えてみると、ゴブ太郎が流暢に言葉話し始めたら、それはそれでなんか嫌だわ。
こいつ怖ぇし。
「ゴッブ!」
「ん? あ、ステータスの上の方にタブが追加されてる。『仲間』ってあるじゃん」
知らん間にステータス画面が更新されている。
ゴブ太郎に言われるがまま、『仲間』タブをタップする。
すると、画面に『仲間』であるゴブ太郎のステータスが表示された。
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名前 : ゴブ太郎
種族 : ゴブリン(♀)
レベル : 4
信頼度 : 好きピ
ジョブ : 未選択
能力 : こうげき ☆☆
まもり ☆☆
すばやさ ☆☆
状態 : アゲアゲ
弱点 : 頭
好み : コーラ
好きピ
性格 : ぼっち
《備考》
群れの♂との繁殖を拒否し、村八分にされた♀ゴブリン。イキり陰キャ♂たちに犯される前に助けてくれた人間《好きピ》に感謝している。ちなみに処女だよ?
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うん、ツッコミどころが多すぎる!
情報が渋滞してんぞ、畜生!




