表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

魔物使い

「よし、決めた。このジョブにしよう」


 俺が選んだのは――魔物使い。


 スマホの画面に並ぶジョブリストを何度もスクロールして、さんざん迷った末の選択だ。


 戦士とか武闘家みたいな脳筋系は、万年運動不足の俺には絶対無理。キャラ的にもガラじゃない。却下。


 魔法使いや僧侶は、魔法ってことはなんか魔力的な謎エネルギーがあるはずで、それが尽きたらただのオッサンにジョブチェンジだ。はい、却下。


 盗賊や狩人は、器用さや俊敏さが求められるっぽくて、隠れて不意打ちとか狙撃とかできそうだから一応候補には入れたけど……なんかピンとこない。却下。


 商人はなんか金儲けのイメージしかなくて、終末世界でそんな悠長なことやってられっか!って最初に却下。


 旅人は、ソロプレイならそれっぽい雰囲気あるけど、イマイチ何やるジョブかよくわからんし、保留。


 で、魔物使い。

 これ見た瞬間、ビビビっと来たね。

 その割に結構悩んだんだけど。


 さて、なんで魔物使いかっていうと――ぶっちゃけ、最近ハマってるあのRPGの影響だ。

 そう、某国民的RPGの5作目。

 魔物を仲間にできるシステムがクソほど楽しくて、スライムからドラゴン、ゴーレムに悪魔まで仲間にして育てた感覚が忘れられない。


 俺、敵を仲間にできるゲーム大好きなんだよね。

 それを自分好みに育てるのがたまらん。


 それに何より、「魔物を操れたら、俺が戦わなくてもいいじゃん」ってのが一番の決め手。


 モブたるもの、直接戦闘は避けて、自分の手は汚さず頭使って生き残るのが賢いってもんだろ。


 画面の「魔物使い」をポチッとタップ。


 ピロン!


 軽快な音が響き、スマホが一瞬光った気がする。

 画面が切り替わり、ステータス画面が更新される。


 ============


 名前  : 望月 友人

 レベル : 1

 ジョブ : 魔物使い

 スキル : 魔物雇用 


 ============



「お、スキルきた! 魔物雇用、ねぇ……」


 試しに「魔物雇用」の文字をタップしてみると、画面に詳細がポップアップする。



 ===========

 ・魔物雇用

 魔物に話しかけ、一定の確率で仲間にする。成功率は低く、対象は弱い魔物に限られる。が、魅力的な雇用条件によっては、ワンチャン格上にも成功するかも……?

 ===========


「ふむふむ……いや、なんかイメージと違うんだけど」


 魔物ってボコったあと、起き上がって仲間になりたそうにこっちを見てくるんじゃないの?

 雇用条件って、バイトの募集じゃあるまいし。

 時給とか休みとか提示すりゃいいのか?

 魅力的な雇用条件……俺んとこ、365日無休だけどみんな来てくれる?


「ま、まぁ、成功率は低いみたいだけど、スライムとかゴブリンくらいなら……ワンチャンいけるだろ。たぶん」


 問題は「魔物に話しかけ」ってところだ。

 なんぞそれ?

 誰かに見られたらヤベェ人に思われない?



 まぁ、やってみりゃわかるか。

 部屋にいたスライムはさっき重曹で倒しちゃったから、試すなら外で魔物を探すしかない。


「よし、なら外に出るか。魔物探しついでに、物資も確保しないとだな」


 終末世界ってんなら、食料や生活必需品がいつ手に入らなくなるかわからない。

 モブの俺が生き残るには、準備が命だ。


 ゲームでも、序盤はアイテム集めと情報収集が基本だしな。

 欲張ってボスに突っ込んで全滅、なんてのは俺のプレイスタイルじゃない。


 慎重に、堅実に、モブらしくしぶとく長く生き残る。

 目標はこれだな。



 ☆★☆★☆



 部屋を見回して、さっそく準備を始める。


 まずは装備だ。

 ファンタジー世界みたいに剣や鎧はないけど、クローゼットから作業着の上下と靴箱から安全靴を引っ張り出す。

 工場勤務の数少ないメリットは、こういう頑丈な服が手元にあること。

 スライムの酸で服が溶けたらたまんねぇし、防御力は少しでも上げておきたい。

 工場勤務に初めて感謝だわ。

 あと、一応お腹に雑誌を入れておこう。


 次に、武器、というか、使えるもの。

 包丁は……さっきは生活必需品だからって躊躇したけど、渋って使わないでやられたら元も子もない。

 部屋に転がってた段ボールを加工して鞘を作り、腰のベルトに止めて持っていく。


 もう一つ、押し入れにしまってあった金属バットを手に取る。

 学生時代、野球部でもなんでもなかったけど、なんか素振りしたくて衝動的に買ったやつ。

 ホコリ被ってたけど、今日がついにその出番だ。


 試しに素振りしてみると、意外と手に馴染む。

 よし、これでいこう。


 続いて、物資の確保。

 台所の棚を漁って、缶詰、レトルト食品をリュックに詰める。

 ペットボトルの水も3本、いや2本。

 重いけど、終末世界で水は命綱だ。


 そういや、重曹も持ってくか。

 スライム対策にバッチリだし、いざとなったら掃除にも使える。


 100均の小さいプラスチック容器に重曹を詰めて、ポケットに突っ込む。


「うん、準備はこんなもんか」


 窓の外を見ると、遠くで煙が上がってる。

 サイレンの音が断続的に響き、たまに「うわぁ!」とかいう悲鳴や、ガラスが割れるような甲高い音も聞こえてくる。


 マジで世紀末だな。

 でも、ゲームならここからがスタート、冒険開始だ。

 モブの俺でも、レベル上げとアイテム集めでどうにかなる……はず!

 その前に死ぬとかないよね?

 イロハのイで死ぬとか、シャレになんないぞ?



 玄関のドアを開ける前に、スマホをチェック。


「終末はじめました」を起動して、ステータスを確認。


 魔物雇用、頼むぞ。

 スライムでもゴブリンでも、なんか仲間になってくれよ。

 ダメなら金属バットと重曹でなんとかしなきゃいけないんだからな?


「よし、行くぜ。モブの冒険、スタートだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ