序幕 歯車は回る時
人口は1000人程度ではあるものの、規模は大きく巨大な鉱山を要している。
そして街には至る所にある機械。
採掘作業には大型のドリルを付けた削岩機が活躍し、街の中には人の手作業を極限まで減らした製鉄工場がある。
例えば、「フーダ」と呼ばれるこの機械に食材を放り込めば簡単な料理くらいならほとんど自動で出来上がるし、家の中の掃除は「シィプ」が住んでいる者の動きを邪魔することなく行う、等々…
労働人口が街の人口の9割を占めるこの街では、ほとんど必需品と言ってもいい。
様々な形や大きさの歯車を組み合わせ、これらの機械は出来上がってゆく。
そしてそれらの動力の源が「ストラ」
エメラルドグリーンに輝き、膨大な量のエネルギー蓄えている石。
ストラを特殊な機関に組み込み、一定の刺激を与え続けることで、安定したエネルギーを取り出すことが出来る。
ストラの存在はギアの街でまず機械化を急速に広めた。
ある程度まで機械化が進むと今度はありとあらゆる機械達はより多機能に、より小型化されていった。
この技術革命の始まりはたったの50年ほど前の事――。
何故、技術はこれほどまでに急な革新を見せたのか。
その秘密に触れようとしている少年「ロイド・ウーク」
物語は少年が手にした一枚の薄汚れた紙から始まった。