表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
84/261

平原にて広がる影

山を下りたまかない部は、広大な平原を歩いていた。

 陽は高く、草原は風に揺れ、鳥の影が遠くをかすめていく。

 港町の戦いや僧院での儀式が嘘のように、空は澄み渡っていた。


 


「……ここまで広いと、気持ちいいな」

 ソラが肩の荷を下ろし、空を見上げて笑う。


「うん……山の霧より、ずっと軽い」

 ルナも小さく微笑んだ。



小さな違和感


 だが、草原の中を進むうちに、ミナが足を止めた。


「なぁ、なんか……静かすぎひん?」


 


 確かに、鳥の声も虫の音も少ない。

 ただ風だけが草を揺らしていた。


 


 ダグが剣に手をかけ、目を細める。

「……気のせいじゃねぇ。誰かが、ここを通った跡がある」


 


 草の上には、押し倒された筋が道のように伸びていた。

 それは人か獣か――判別できないほど大きく深い跡だった。



迫る影


 遠く、丘の向こうに黒い群れが揺れていた。

 まだはっきりとは見えない。

 だが確かに、こちらへ向かっている。


 


 ミナがごくりと唾を飲む。

「……まさか、また旗を狙うもんらが……?」


 


 ソラは杓文字を握り直し、風にたなびく草原を見据えた。

「まだ分からない。でも……準備はしておこう」



結び


 平原の風は相変わらず穏やかだった。

 だがその奥に、確かに忍び寄る気配があった。


 空の青さと地平の広がりの中で、じわりと広がる影――

 それは、次なる波乱の予兆だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ