表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
8/259

昼食開戦! 試作メニュー、実戦投入

昼――

 魔王城・迎賓食堂。銀製のカトラリーと魔法光を使った照明、

 正面には魔王様が着席し、長テーブルの両側に食通・関係者が並ぶ。


 


 その中には──


 


「え、あの人……また来てる!? 第四王子!?!?」


「うん、ライアス王子。今回は“料理監査としての正式な視察”だって」


「前は非公式って言ってたのに……魔王様の飯、そんなに刺さったの!?」


「刺さって靴下脱げたレベルで感動したらしいよ」


「わかるけど!!!」


 


 今日は新メニューの本番投入日。

 出すのは、昨日の“試作地獄”を経て決定した6品。


 調理:リドとルナ

 火力:ミナ(泡立て器持参)

 盛り付け:俺(気づけば固定)

 演出:魔王様(ほぼ趣味)


 


「ソラくん、これ盛り付けお願い。焦げ目がこっちに来るようにして」


「了解です! あっ、でもこれなんか……異物……?」


 


 盛り付け中、皿に小さな光る粒を発見した。


「これ、魔法鉱粉だ。熱封じの補助魔法に混ざることがあるんだけど……」


「わざと?」


「ううん、混入ミス。これ下げるよ」


「……こういう時、ちゃんと対応するんだね」


「うん。“魔王城の厨房は清潔で誠実”って噂、外に広めたいから」


 


 誰も怒らず、慌てず、即修正。

 リドが別皿を用意、ルナが味見、ミナが火力調整し直す。


 それぞれの得意を活かすチームワーク。

 俺は少し、うれしくなった。


 


 そして、料理が運ばれ、全席に並ぶ。

 王子がスプーンを持ち上げ、ひとくち……。


 


「…………」


 


 沈黙。

 視線が魔王様に集まる。


 


 魔王様はにこりと笑って言った。


 


「お口に合いませんでしたか?」


「……いや。うまい。うまいが……うまいがッ……!」


「?」


「このソース……私の祖国のレシピより完成度が高い……!悔しい……!」


 


 まさかの、美味しすぎて悔しがる王子爆誕。


 


「というわけで、魔王様。講習制度、お願いします」


「講習?」


「定期的に、この厨房の技術を……我が王国の調理兵にも教えてほしい……」


「ふふ。相談しておきます」


 


 また、勝ってしまったようだ。食で。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ