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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
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精鋭との攻防

黒鎧の精鋭たちが広場に踏み込んできた瞬間、空気が一変した。

 その動きは鋭く、まるで波のように押し寄せる。

 普通の兵では到底太刀打ちできない。


 


「……こいつら、今までの連中と格が違う!」

 ダグが歯を食いしばる。



知恵で応戦


 漁師たちは網を広げ、敵兵の足に絡みつかせた。

 倒れ込んだところに木槌や石を振り下ろす。


 


 船大工は大きな板材を盾にして押し返し、

 女たちは桶の海水をぶちまけて足元を滑らせた。


 


「戦うんじゃない! 粘るんや!」

 ミナが叫び、村人たちの動きをまとめる。



まかない部の工夫


 ルナは光魔法で相手の視界を遮り、ソラは木刀でその隙を叩く。

 だが力では勝てない。

 そこでソラは大鍋の湯を杓文字で掬い、熱々の汁を敵兵に浴びせかけた。


「うわっ……!」

 悲鳴を上げ、敵兵が後退する。


 


「ただの料理だと思ったか! これも旗の力だ!」

 ソラの声に、町人たちの士気が高まった。



グレイルの指揮


 グレイルは剣を振るいながらも叫んだ。

「鍋を囲め! 旗から離れるな!」


 その言葉に、人々は自然と鍋を守る円を作る。

 精鋭の突撃にも崩れない結束が生まれていた。



じわじわと


 黒鎧の兵は強かった。

 一撃一撃が重く、押されれば一瞬で突破される。

 それでも――港町の人々は倒れずに立ち続けた。


 


「……不思議だな」

 精鋭の指揮官が低く呟く。

「剣でも槍でもなく……鍋を守るために人が粘るとは」


 


 その言葉には、かすかな苛立ちと恐れが混じっていた。


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