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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
381/382

外へ渡る火

魔王城の朝。


調理場は

静かに動いていた。


もう、

三人がいなくても

流れは止まらない。


火は保たれ、

鍋は回り、

調整も続く。


ミナが

その様子を見て言う。


「……ほんまに回っとるな」



◆新しい依頼


そこへ、

一人の兵が駆け込んでくる。


「北東の村からです」


「調理場が

 崩れています」



◆以前との違い


以前なら、

三人が直接向かった。


だが――

今回は違う。


アリアが

静かに言う。


「……任せます」


ルナが

少し驚く。


「……行かない……?」



◆派遣


選ばれたのは、

新しく育った料理人たち。


まだ若い。


経験も少ない。


だが

流れは学んでいる。



◆不安


料理人の一人が

緊張した顔で言う。


「……本当に

 自分たちで?」


ミナが

笑う。


「……失敗してこい」


「戻せばええ」



◆最低限だけ渡す


アリアが

紙を置く。


書かれているのは

複雑な技術ではない。


・順序

・流れ

・止まり方

・戻し方


それだけ。



◆送り出し


料理人たちは

城を出る。


背中は

まだ不安定。


だが

止まってはいない。



◆残る三人


調理場は

静かになる。


ルナが

小さく言う。


「……大丈夫かな……」


ミナが

鍋を混ぜながら答える。


「……大丈夫やないやろな」



◆それでも


失敗する。


乱れる。


止まるかもしれない。


だが――

戻し方を知っている。



◆待つ時間


今回は

三人は動かない。


報告を待つ。


介入しない。


それも

新しい段階。



◆数日後


北東の村から

便りが届く。


“完全ではありません”


“ですが、

 鍋は止まっていません”



◆小さな成功


ルナが

ほっと息を吐く。


「……続いてる……」


ミナが

笑う。


「……それで十分や」



◆広がるまかない部


まかない部は、

三人ではなくなった。


火の扱い。

流れの整え方。

戻し方。


それが

外へ広がり始める。



◆アリアの言葉


「……整えるとは

 自分が動き続けることではありません」


「……動かなくても続く形を残すことです」



◆次へ


魔王城の火は

今日も揺れている。


だが今、

別の土地でも

小さな鍋が動いている。


三人の手ではない。


それでも

繋がっている。


そして――

次は


まかない部の名前が

 一人歩きを始める。

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