壊す者の手
壊され続けた町を離れ、
三人は森の縁へと向かった。
気配は、
そこにあった。
夜になると現れ、
町を壊す存在。
ミナが
低く言う。
「……おるな」
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◆潜む者
木の陰。
かすかな動き。
人影が
いくつもある。
完全な兵ではない。
だが
ただの盗人でもない。
ルナが
小さく言う。
「……痩せてる……」
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◆壊す理由
アリアは
隠れずに歩く。
そのまま
声をかける。
「……出てきてください」
しばらくの沈黙。
やがて
数人が現れる。
荒れた服。
痩せた体。
一人が
言う。
「……あんたら、
あの町の奴か」
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◆告白
彼らは
元は同じ町の人間だった。
だが
飢えが来た。
食料が足りない。
争いが起きた。
追い出された。
ミナが
舌打ちする。
「……それで壊しとったんか」
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◆壊す行為の意味
男が
低く言う。
「……作らせたら
こっちに回ってこない」
「だから
壊す」
単純な理屈。
だが
重い。
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◆料理での対話
アリアは
静かに言う。
「……では、
一緒に食べましょう」
男たちは
警戒する。
「……罠か」
ミナが
笑う。
「……罠で飯作るか」
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◆最小の料理
火は使わない。
壊されない形。
穀物を分ける。
水を少し。
その場で
混ぜる。
ルナが
一つ差し出す。
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◆境界の一口
男は
しばらく見つめる。
やがて
口に入れる。
噛む。
飲み込む。
何も起きない。
ただの
食べ物。
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◆分けるという形
アリアが
言う。
「……これは
分ける料理です」
「……集めず、
残さず、
奪えません」
ミナが
続ける。
「……誰のもんでもない」
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◆壊す意味の消失
男たちは
顔を見合わせる。
壊す理由が
薄れる。
奪う対象がない。
争う余地がない。
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◆初めての共有
村の側からも
数人が来る。
緊張が走る。
だが
同じ形の料理。
同じやり方。
同じ一口。
言葉は少ない。
だが
争いは起きない。
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◆壊す手の変化
男が
小さく言う。
「……これなら
壊さなくていい」
ルナが
微笑む。
「……一緒……」
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◆まかない部の理解
ミナが
腕を組む。
「……壊す理由、
なくしたな」
アリアは
静かに言う。
「……整えるとは
争う余地を消すことです」
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◆夜の森
その夜。
壊す者たちは
町へ向かわなかった。
代わりに
森の縁で
静かに食べている。
村の者も
同じ場所で。
距離はある。
だが
分断はない。
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◆次へ
三人は
その様子を見て、
静かに歩き出す。
壊す者と
壊される者。
その境界は
少し消えた。
だが次は――
壊すのでも、
争うのでもない。
何も起きない世界。
すべてが止まった場所へ。




