表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
34/259

出発の朝! まかない部、見送りの誓い

夜明け前の魔王城。

 まだ空は薄暗く、城下町も寝静まっている。

 しかし、城門前には討伐隊の列が整っていた。


 


 まかない部は早朝から厨房に立ち、最後の見送り料理を準備していた。


 


「よし、これで全員分――持たせるぞ!」


 


 作ったのは、

 “帰り道のお守りパン”。

•熱石で焼き上げた、冷めても柔らかい発酵パン

•中には昨夜の【帰還の鍋】を煮詰めた具を包み込む

•香草を混ぜて、遠くからでも匂いで帰路を思い出せるように


 


 ソラがひとつずつ紙に包み、手渡していく。


「これは帰ってくるまで食うな。

 ……どうしても心が折れそうな時だけ開けろ」


 


 ミナが両手を腰に当てて叫ぶ。


「全員揃って、笑って帰ってこいよ!!

 鍋の続きをやるんだからな!!」


 


 ルナも笑顔で、けれど真剣に付け加える。


「道に迷ったら、この匂いを頼りに帰ってきて。

 パンは一人で食べるものじゃないわ」


 


 魔王様は、最後尾のギルドマスターに歩み寄り、

 低い声で言った。


「……この城門は、必ず全員でくぐって帰ってきなさい。

 約束できないなら、今すぐ出発をやめなさい」


 


 ギルドマスターは一瞬だけ目を細め、

 そして力強く頷いた。


「約束する。必ず全員で戻る」


 


 やがて、号令が響き渡り、

 討伐隊は雪を踏みしめながら城を後にした。


 


 その背中が見えなくなるまで、

 まかない部は門前に立ち、

 パンの香りとともに見送り続けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ