準決勝突入! 強敵“砂漠の流浪料理団”との極限食材バトル!
クロス・ディッシュ杯、準決勝。
次なる対戦相手は、
“流浪の料理団”。
「彼らは、砂漠の死地で暮らす民の出身。
水も魔力も極端に制限された中で、独自の調理技術を磨いてきた集団や」
「現地調達、即調理、保存なし、器具最小。
彼らの料理は、“命そのもの”なんだ」
試合テーマは──
【テーマ:命をつなぐ料理】
※会場で提供されるのは“空の鍋”のみ
※調理具・食材は現地調達、制限時間3時間
「つまり……この会場にあるものだけで勝負ってこと!?」
開催地・カラントア郊外の“試練砂漠”にて、
両チームは完全自力で食材を探し出す。
アスラ・カランは即座に散開し、
砂トカゲ・岩卵・酸性果実・土壌菌糸などを入手。
水分は地下水蒸気を凝縮して確保。
対する魔王城陣営。
「魔王様、何か持って……」
「持ってないわ」
「ルナ、魔法で──」
「ここの結界、魔力の転用禁止みたい」
「じゃあどうするのさ!?」
ソラは黙って、小さなスコップを取り出す。
「……掘る」
「えっ」
「まずは**“食える根っこ”**を探そう」
こうして、魔王城チームの“穴掘り調査”が始まる。
数時間後、ミナが叫ぶ。
「出た! 地下果根“ダラナ芋”発見!!」
「乾燥してるけど、皮を剥けば甘みが出るやつ!」
「あとこっちは小型虫の巣。脱皮直後の個体は軟らかくて炒め向き!」
調達が完了すると、ソラが即席で調理方針を出す。
「メインは“ダラナ芋の香ばし焼き”
副菜に“蒸し虫の甘酸炒め”
仕上げに、“砂果ジュレ”を添えた温根スープ」
火力は太陽熱、調理器具は石板・葉包み・砂鉄鍋。
香りづけには、土中にあった乾燥藻を炙って香気を加える。
どれも、貧しくも**“確かに命をつなぐ味”**だった。
一方のアスラ・カランは、岩卵を使ったふわりとした蒸し焼きに
トカゲ肉の燻製、果実の苦味を活かしたソース。
味覚だけで言えば互角。
だが、審査員と観客の心に響いたのは──
「……このスープ、冷えてるのに、胃が温かくなる」
「苦いのに、どこか優しい……」
「“食って生きる”ってこういうことだって、思い出す味だ……」
観客の共鳴スコアが上昇。
アスラ・カラン:96点
魔王城まかない部:98点
勝者:魔王城まかない部!
対戦後、アスラ・カランの団長がソラに語る。
「……かつて我々も、貧しい中で料理を続けた。
でも、お前たちの味には“喜び”がある。
生き延びるためだけじゃない、“もう一歩、前へ進むための味”だ」
魔王様が答える。
「それが、まかないの役目よ。
“今あるもの”で、少しでも明日を変えるために作るの」




