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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
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開幕クロス・ディッシュ杯! 初戦の相手は“火の精霊料理人”!

中立都市カラントア。

 国境を越えて人・魔族・精霊が集うこの地で、

 世界最大級の料理大会《クロス・ディッシュ杯》が開幕した。


 


 各国の陣営が続々と入場し、

 魔王城まかない部も入場口に並ぶ。


 


「うわ、周り……すごい雰囲気だな」


「見ろよ、あの金鍋。煮込み専門国家“ヴルマス帝国”の公式鍋らしいぞ」


「ていうか、“鍋に護衛ついてる”のおかしくない!?」


 


 開会式では代表挨拶が行われ、

 その中に、人間の王国代表としてかつて魔王様が仕えていた料理長の名もあった。


 


「……へえ、あの人、まだ現役なんだ」


「知り合い?」


「皿洗い時代、毎朝“水がぬるい”って怒鳴られてた相手」


「根に持ってる!?」


 


 そして、初戦の対戦カードが発表される。


 


【第一試合】

魔王城まかない部 VS 火精霊連合 “フラムの灼熱厨房”


 


「……相手、“灼熱”って名前からして強そうなんだけど」


「火力特化型の精霊料理陣営やな。素材を一瞬で仕上げて、“香ばしさと爆発力”を出すんや」


「つまり、“真っ向から火力勝負”だね……」


 


 ミナが前に出る。


「ふふ、火の扱い? こっちにはバスがいるんですけど?」


「俺、火なら任せとけ」


「“燃やす”じゃなくて“料理する”んだよ!?」


 


 試合はステージ型の公開キッチンで行われ、

 観客と魔導審査員によって評価される。


 


 テーマは──


【火を制した逸品】(調理に火を使う料理であること)


 


 対戦相手、フラム陣営は、

 火精霊の料理人3名が炎のカーテンをまとって調理開始。


 


「油跳ねすら芸術……!」


「エビが踊ってるぅぅぅ!!」


 


 一方の魔王城陣営。


 ソラが仕上げ役、バスが火力調整、リドが焼きの構成を担当。

 作るのは──


“燻香のミートクレスト 〜焼き根菜と香魔草添え〜”


 


 火を“前に出す”のではなく、香りを引き出すための火。

 バスの精密な熱魔法と、リドの技が合わさり、

 「焼きすぎない旨さ」を極めたプレートが完成する。


 


「うおっ……この香り、鼻腔に残って、胃袋が騒ぎ出す……」


「こっちの火は“叫ばない火”だ……!」


 


 ミーレンが副将席から叫ぶ。


「表面カリカリなのに、中がジューシー! 焦がさず仕上げる奇跡の焼き加減!」


 


 審査員の評価は――

•技術:魔王城 9.5 / フラム 8.7

•味覚:魔王城 9.8 / フラム 9.2

•食後幸福度:魔王城 10.0 / フラム 8.5


 


勝者:魔王城まかない部


 


 歓声と拍手が湧き上がるなか、

 フラム陣営の代表が、火のカーテンを消して言った。


「……見事だった。あんな火の使い方があるとはな。

 “燃やすための火”と、“生かすための火”。その違いを思い知ったよ」


 


 ソラが礼を返す。


「また戦いましょう、次は“煙の使い方”でも」


「いやそこは素直に勝ち誇ってもいいのに!」


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