復興の歌
畑のあちこちで、泥にまみれた笑い声が響いていた。
小さな芋や麦の穂を籠に集めながら、人々は互いに言葉を交わす。
その中で――子どもたちがいつの間にか、声をそろえて歌を口ずさみ始めた。
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子どもたちの歌
「おひさまのぼる あしたがある
つちからめがでる いのちがある」
高い声が畑の風に乗り、明るく響いた。
歌は誰に教わったわけでもなく、遊び歌のように自然に生まれたものだった。
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大人たちの反応
母親が作業の手を止め、微笑みながら聞き入る。
老人は目を細め、震える声で小さく口ずさんだ。
若者たちは互いに顔を見合わせ、恥ずかしそうに、それでも声を重ねた。
「歌や……子らが歌うとる」
「こんな時に……歌が戻ってくるんやなあ」
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まかない部の姿
ソラは笑顔で歌に合わせて手を叩いた。
ミナは子どもたちの輪に混ざり、大げさに踊って笑いを誘った。
ルナは珍しく口ずさみ、ダグは声を張らずに低く合わせた。
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刺客の一隅
刺客は黙って歌を聞いていた。
やがて、ごくかすかに唇が動き、声にならぬ声で旋律を追った。
その姿に気づいた少年が笑顔で手を振り、刺客もぎこちなく頷いた。
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結び
子どもたちの歌は広がり、大人も、戦いを越えた者も、皆が少しずつ声を重ねた。
畑には泥と汗と笑いと、そして歌が響いていた。
――復興の歌は、町の未来を照らす灯りとなった。




