表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
141/261

復興の歌

畑のあちこちで、泥にまみれた笑い声が響いていた。

 小さな芋や麦の穂を籠に集めながら、人々は互いに言葉を交わす。

 その中で――子どもたちがいつの間にか、声をそろえて歌を口ずさみ始めた。



子どもたちの歌


「おひさまのぼる あしたがある

 つちからめがでる いのちがある」


 高い声が畑の風に乗り、明るく響いた。

 歌は誰に教わったわけでもなく、遊び歌のように自然に生まれたものだった。



大人たちの反応


 母親が作業の手を止め、微笑みながら聞き入る。

 老人は目を細め、震える声で小さく口ずさんだ。

 若者たちは互いに顔を見合わせ、恥ずかしそうに、それでも声を重ねた。


 


「歌や……子らが歌うとる」

「こんな時に……歌が戻ってくるんやなあ」



まかない部の姿


 ソラは笑顔で歌に合わせて手を叩いた。

 ミナは子どもたちの輪に混ざり、大げさに踊って笑いを誘った。

 ルナは珍しく口ずさみ、ダグは声を張らずに低く合わせた。



刺客の一隅


 刺客は黙って歌を聞いていた。

 やがて、ごくかすかに唇が動き、声にならぬ声で旋律を追った。

 その姿に気づいた少年が笑顔で手を振り、刺客もぎこちなく頷いた。



結び


 子どもたちの歌は広がり、大人も、戦いを越えた者も、皆が少しずつ声を重ねた。

 畑には泥と汗と笑いと、そして歌が響いていた。


 


 ――復興の歌は、町の未来を照らす灯りとなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ