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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
133/143

傷跡と絆

夜が明けきった広場には、戦いの爪痕が生々しく残っていた。

 焼け焦げた壁、折れた槍、瓦礫の山。

 だが、その中に人々の声が響き始めていた。


「瓦礫をどけろ!」

「水を回せ! まだ燻ってる火がある!」

「怪我人をこっちへ!」



共に動く町人たち


 若者は瓦礫を肩に担ぎ、老人は杖を突きながらも道を指示する。

 母親たちは子どもを背負いながら、裂いた布で手当を続けていた。

 子どもたちでさえ、小さな手で石を拾い集めていた。


 


 戦いを経た町は、恐怖に沈黙するのではなく、互いを支え合って動いていた。



まかない部の手


 ソラは風で煙を散らしながら、焼けた梁を持ち上げる。

「重いぞ、下から支えろ!」


 ダグは剣を脇に置き、力任せに瓦礫をどかす。

「剣より役立つ仕事もあるもんだな!」


 ルナは氷で水を作り、傷口を冷やして人々に渡す。

 ミナは鍋蓋を叩いて合図を送り、作業のリズムを整えていった。



刺客の姿


 かつての刺客は黙々と木材を担ぎ、倒れた柱を支えていた。

 町人が彼を訝しげに見たが、やがて「ありがとう」と声をかける。

 刺客は一瞬驚いたが、短く頷き、また作業に戻った。



繋がる声


「おい、こっち手が足りん!」

「任せろ!」

「こっちは終わった、次に行くぞ!」


 声が重なり、広場は再び活気で満ちていく。

 戦いの傷跡は深い。だがその傷の上に、人々の絆が刻まれていった。



結び


 旗は風に揺れ、朝日を浴びて輝いていた。

 それを見上げる町の人々の表情は、疲れていても晴れやかだった。


 


 ――傷跡は確かに残った。

 だが、その上に築かれるのは新たな絆だった。


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