勝利の余韻
歓声が町を包んだ後、広場には次第に静けさが戻り始めた。
人々の喉は枯れ、足は震え、誰もがその場に腰を下ろしていた。
だがその顔には、恐怖ではなく安堵の色が浮かんでいた。
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人々の姿
老人が杖に寄りかかり、目を細めて呟く。
「……生き延びたのう……」
母親は子を抱きしめ、泣き疲れた頬を撫でた。
子どもは瞳を輝かせ、旗を見上げながら小さく笑った。
「町は……まだここにあるんやな」
若者の声に、仲間たちが力なくも頷く。
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まかない部の輪
ソラは腰を下ろし、深く息を吐いた。
「ふぅ……みんな、本当に……よく守り抜いたな」
ダグは剣を脇に置き、背中を地面に預けて空を見上げる。
「これほど長い夜はなかった……」
ルナは氷の残滓を払いながら静かに微笑み、
ミナは鍋蓋を抱え込むようにして、涙混じりの笑みを浮かべていた。
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刺客の変化
少し離れた場所で、かつての刺客が旗を見つめていた。
短剣を地に突き立て、ぽつりと呟く。
「……守る側に立つのが……こんなにも温かいとはな……」
その言葉に、近くの町人がそっと水を差し出した。
刺客は驚いたようにそれを受け取り、黙って頷いた。
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結び
戦いは終わった。
燃えた建物も、傷を負った人々もいた。
それでも、町は旗を守り抜き、互いの存在を確かめ合っていた。
――勝利の余韻は、穏やかな安堵と共に、町を優しく包んでいた。