共闘の刃
広場に再び怒号が響いた。
刺客が外部勢力を裏切ったと知った兵たちが、牙を剥いて殺到してくる。
まかない部と刺客は、自然と背を合わせて立っていた。
それは敵として刃を交えた距離ではなく、仲間として生き残るための距離だった。
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背を預ける瞬間
「右は任せる」
短く言ったのはダグだ。
「……ああ、左は俺が落とす」
刺客はためらいなく応じた。
ソラが風刃を放ち、ルナが氷を走らせる。
その隙を刺客の短剣が突き、ダグの剣が受け止める。
互いの動きがまるで約束されたもののように噛み合っていった。
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群衆の目に映るもの
町人たちは戦いながら、その光景を目にしていた。
「……敵だった奴が、いまは旗を守ってる……」
「背中を預けとる……本気なんやな」
恐怖に縛られていた心に、確かな勇気が灯っていった。
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ミナの言葉
ミナが蓋を振るいながら笑った。
「なんや、悪くないやん! 鍋の蓋も背中も、預け合える仲間や!」
その声に、ソラが思わず笑い返す。
緊張の只中でさえ、確かな絆が芽生えていた。
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信頼の戦い
刺客は初めて声を荒げた。
「背中を任せるってのは……こういうことか!」
彼の短剣が走り、ダグの剣と交差する。
その二人を支えるように、ルナの氷が敵の足を封じ、ソラの風が吹き飛ばす。
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結び
かつての敵は、もはや町を守る刃の一つだった。
背を預け合い、互いに欠けを埋め合う。
――共闘の刃が、戦場に新たな均衡を生み出していた。