表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
127/135

決断の刃

広場に刺客の呼吸だけが響いていた。

 短剣を握る手は震え、布切れのように揺れる旗が視界に焼きつく。


 


「……俺は、何をしている……?」


 声は自分に向けられたものだった。



選ぶ瞬間


 外部勢力の兵の声が飛ぶ。

「何をもたついている! 旗を切れ!」


 その号令に、刺客の背筋が震えた。

 しかし次の瞬間、彼の視線は旗を囲む群衆へと戻っていた。

 老いた者も、母も、子も――小さな声で旗を守ろうと立つ姿。


 


 その光景が、心の奥で何かを決壊させた。



裏切りの一撃


 刺客は短剣を振り上げた。

 兵も町人も息を呑み、旗が裂かれると誰もが思った。


 


 だが刃は――振り返り、外部勢力の兵の喉元へ突き立った。


「なっ……!」


 鮮血が飛び散り、兵が崩れ落ちる。

 広場が一瞬静まり、次の瞬間ざわめきに包まれた。



新たな立場


 刺客は群衆に背を向け、外の兵を睨み据える。

「旗は……この町のものだ。

 俺はもう……お前たちの犬じゃない!」


 短剣を構え直し、背筋を伸ばすその姿に、群衆が息を呑む。



まかない部の応答


 ソラが目を見開き、叫んだ。

「……決めたんだな!」


 ルナは冷静に頷き、ミナは涙をにじませ、ダグは剣を掲げた。

「なら共に戦え。もうお前は敵じゃない!」



結び


 刺客の刃はついに決まった。

 それは旗を裂く刃ではなく、町を守る刃。


 


 ――決断の刃が、戦局を大きく揺り動かした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ