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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
125/127

旗を守る刃

刺客の短剣が振り下ろされようとしていた。

 夜明けの光を浴びた刃が、旗の布を裂こうと煌めく。


 


 群衆は息を呑み、まかない部も距離の遠さに間に合わない――。

 その瞬間だった。



名もなき声


「させるかぁッ!」


 叫びとともに飛び込んだのは、広場の片隅で荷を守っていた一人の町人だった。

 粗末な木槌を振りかざし、刺客の腕に叩きつける。


 


 刃は逸れ、短剣は旗を裂くことなく地面に突き刺さった。



小さな勇気の一撃


「……誰だ……?」

 刺客が低く呻いた。


 町人は肩で息をしながら、震える声で答えた。

「名なんて……どうでもいい……。

 この旗は……この町のもんだ……!」


 


 刺客が反撃に動こうとした瞬間、別の若者が後ろから石を投げつけた。

 さらに老人が杖で背を叩き、母親が子を背負ったまま布を投げて目を覆った。



勇気の連鎖


 たった一人の勇気が、次々と人を動かす。

 刺客は一瞬で群衆に囲まれ、短剣を構えながらも動きを封じられた。


 


「……っ、この町……!」

 刺客の焦りが滲む。



まかない部の到着


 ようやくソラたちが駆けつけ、ダグが剣で刺客を押し下げた。

 ルナの氷が地を固め、ミナが蓋を叩いて群衆を守る。


「よく……よく繋いでくれた!」

 ソラの声が広場に響いた。



結び


 旗は裂かれず、町の風にたなびいていた。

 それを守ったのは、名もなき町人の小さな勇気。


 


 ――その一撃が、町全体を支える力に変わっていた。


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