旗を狙う影
広場は依然として混戦に包まれていた。
剣戟と叫びが響き、瓦礫と血にまみれた戦場で、誰もが自分の一歩を必死に支えていた。
その喧噪の裏で、静かに動く影があった。
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刺客の潜入
黒布に身を包んだ男が、瓦礫の陰から陰へと滑るように進む。
剣戟にも矢の雨にも目をくれず、ただ一点――広場の端に掲げられた町の旗を見据えていた。
「……旗さえ折れれば、この町は崩れる」
低く呟き、短剣を握りしめる。
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気づいた瞳
ルナが氷の術を放った瞬間、背筋に冷たい違和感が走った。
振り返ると、霧の奥に影がひとつ、音もなく走っていた。
「……刺客!」
ルナの声が戦場を震わせた。
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まかない部の阻止
ソラが杓文字を振り、風刃で瓦礫を吹き飛ばす。
しかし刺客はそれを読み、低く跳んでかわした。
ダグが剣で追おうとするが、兵の群れが行く手を塞ぐ。
ミナが叫んだ。
「旗や! 旗を守れぇ!」
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刺客の迫り
刺客は旗へと迫り、短剣の刃が赤い光を反射した。
群衆の叫びが一斉に響く。
「旗を奪わせるな!」
「止めろ!」
だが刺客は迷いなく走り、布を裂かんと腕を振り上げた――。
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結び
混戦の渦の中で、旗そのものが狙われていた。
剣や魔法の衝突とは別の、静かで鋭い一撃が迫る。
――旗を守れるかどうか、その瞬間が訪れていた。