崩れゆく炎
広場を覆っていた炎は、なおも空を焦がしていた。
だがその中心に立つ炎の担い手の瞳が揺れた瞬間――。
轟音とともに、炎が大きく波打った。
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派手な崩壊
火柱が突然弾け、火の粉が雨のように散り、夜空を赤く塗り替えた。
炎の蛇は動きを失い、瓦礫の上で爆ぜて消えた。
「な、なんや……炎が乱れとる!」
ミナが目を見開き、蓋を構えたまま声を上げる。
ダグが剣を振ると、これまで砕けなかった火の鞭が、脆く散った。
「……弱まっている……!」
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広場の光景
燃え盛っていた建物の壁が崩れ落ち、炎はただの火種となって舞い散った。
赤一色に覆われていた広場が、蒸気と煙に包まれながらも、闇を取り戻しつつあった。
人々が一斉に息を呑み、歓声とも安堵ともつかぬ声を漏らす。
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炎の担い手の動揺
炎の担い手は膝をつき、手を見つめていた。
その掌の上で揺れていた火は、小さな燐光となって消えていく。
「……なぜ……力が……」
彼の冷徹な声に、初めて迷いと弱さが滲んでいた。
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まかない部の叫び
ソラが一歩踏み出し、杓文字を振り上げた。
「今だ! 炎は……お前自身の迷いで崩れてる!」
ルナが氷の槍を放ち、ミナが火の粉を蓋で弾き、ダグが剣を振り下ろす。
崩れかけた炎は次々と裂け、派手な閃光を撒き散らして消えていった。
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結び
広場を支配していた炎は、もはや轟々と燃え盛るものではなかった。
爆ぜて散る花火のように、次々と崩れ、夜空に散っていく。
――炎の担い手の迷いは、確かに戦いの光景を変えていた。