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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
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広場の炎の支配者

広場は、炎の担い手の魔力によって赤黒い光に包まれていた。

 瓦礫に覆われた大地は熱で歪み、屋台の残骸が炎に呑まれて崩れていく。

 彼は炎の玉座に座すかのように立ち、人々を見下ろしていた。


 


「旗のために燃えろ。逃げ惑う姿こそ、炎を求める証だ」


 その声に、群衆は恐怖で凍りついた。



粘り強く立ち向かう


 ソラが杓文字を握り、額の汗をぬぐった。

 足は震え、喉は焼けるように乾いている。

 それでも彼は声を張った。


「――旗は、人を救うためのもんだ!

 燃やして作る旗なんて……絶対に違う!」


 


 ルナは息を切らせながらも、詠唱を繋いだ。

 氷の欠片は炎に溶けて霧となったが、それでも彼女は手を止めなかった。



支え合う力


 ダグは炎に弾かれ、膝をつきながらも剣を突き立てて立ち上がった。

「……まだだ……俺はまだ戦える……!」


 


 ミナは焦げた蓋を胸に抱え、涙目で笑った。

「こんなんで負けへん! うちらの鍋は、火にかけても壊れんのや!」


 


 四人の姿に、人々の瞳がわずかに揺れ始める。

 炎に怯えながらも、誰かが小さく頷いた。



炎の支配者の動揺


 炎の担い手は、初めてわずかに眉をひそめた。

「……倒れぬか。

 ならば立ち上がるたびに焼き尽くすだけだ」


 


 再び炎が広場を覆い尽くす。

 だがその炎に向かって、まかない部は粘り強く立ち上がり続けていた。



結び


 倒れても、焼かれても、なお立ち上がる。

 その姿は決して派手な魔法や剣技ではなかった。

 だが確かに、人々の胸に火とは別の熱を灯していた。


 


 ――まかない部の粘り強さが、広場を覆う炎の支配に抗い始めていた。


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