表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
103/137

影の正体に迫る

炎に包まれた旅籠町。

 黒い外套の影は屋根を駆け抜け、赤く染まる瓦の上を飛び越えていた。

 ソラたちは息を切らしながら、その背を追い続ける。


 


「逃がすな!」

 ダグが叫び、剣を振りかざした。

 炎の熱気が刃に映り込み、赤黒い光を放つ。



追い詰められた影


 ついに路地の行き止まりで、影は足を止めた。

 燃え落ちた梁が道を塞ぎ、逃げ場はない。


 


 ソラが杓文字を握りしめ、息を荒げて言った。

「……ここまでだ! お前は何者だ!」


 


 炎の揺らぎの中で、黒い外套が音を立てて外される。



明かされた素顔


 現れたのは――あの僧院で人々を導くように現れた、フードの人物と同じ顔だった。

 だが、その瞳は穏やかではなく、冷たい憎悪に燃えていた。


 


「……あのときの……!」

 ミナが息を呑む。


 


 男はゆっくりと口を開いた。

「俺の旗は偽りなどではない。

 だが、人々に選ばせるつもりもない。

 ……旗は、争いの炎の中でこそ立つのだ」



まかない部の衝撃


 ルナが鋭く言い返す。

「だから……町を炎に巻き込んだのね」


 


 ソラは震える声で叫んだ。

「旗は……笑顔を守るためのものだろ! お前のは、ただ人を焼くだけだ!」


 


 男の口元に、わずかな笑みが浮かぶ。

「守る笑顔など、いつか燃え尽きる……ならば、炎に鍋をかける方が真実だ」



結び


 炎の中で明かされた影の正体は、旗を巡る新たな敵であり、かつて人々を導いたあの人物自身だった。

 信じたい声と、恐れる声を巧みに操り――ついには破壊を選んだ旗の担い手。


 


 ――旗を巡る物語は、もう後戻りできぬほど深く燃え始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ