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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
102/145

炎と混乱の中で

轟音と炎に包まれた旅籠町。

 広場は逃げ惑う群衆で溢れ、悲鳴と怒号が入り乱れていた。

 倒れた屋台の上で紙花が燃え、赤い火の粉が夜空に舞い上がる。


 


「こっちだ! 出口は南だ!」

「子どもを先に!」


 人々の声が混ざり合う中、ソラたちは鍋を背に炎を避けながら走っていた。



敵を追う兆し


 ルナが炎の中で目を凝らす。

「……見えた。人混みを抜けて、裏路地に消える影がある!」


 


 ミナが叫ぶ。

「こない大混乱の中で逃げてく奴なんて……絶対、仕掛け人や!」


 


 ダグは剣を抜き、煙を裂くように駆け出した。

「追うぞ! ここで逃せば、次はもっと大きな火が来る!」



炎の中の追跡


 裏路地は炎に照らされ、影が赤黒く揺れていた。

 走る人影は黒い外套をまとい、町の混乱を背に軽やかに駆け抜けていく。


 


 ソラは杓文字を構え、息を切らせながら叫ぶ。

「待てっ! お前が旗を裂こうとしてるのか!」


 


 影は答えず、壁を蹴って屋根に跳び上がった。

 瓦の上を走る姿は、炎の中の幻のようだった。



追いつめられる瞬間


 ダグが剣を振り上げ、屋根の影を追う。

 だが、炎の熱気で足元が揺れ、影は次の路地へ飛び降りた。


 


 その一瞬、フードの下から見えた横顔に、ソラの胸が強く鳴った。

「……あれは――!」


 見覚えのある顔。

 だが記憶と結びつけるには、炎と煙が邪魔をしていた。



結び


 町は燃え続け、人々はまだ混乱の中にある。

 だがソラたちの視線はすでに、逃げる影だけを追っていた。


 


 ――炎の中で、旗を裂こうとする敵の姿が、確かにそこにあった。

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