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つややかな肌

 つややかな肌


 case Kyosuke Yoshioka


 別荘に着いたのは午後6時を回ったころだった。俺と彩奈は車から降りてトランクから荷物を取り出して家に入る。


「なんか久しぶりだね、2人で一緒に過ごすって。」


そう彩奈が呟く。確かに今日は久々の二人での宿泊だが名目がお家デートということで普段以上に彩奈に気を使ってしまう。俺としては絶対彩奈が嫌がるようなことをしたくないから尚更今日は気を遣う。にしても今日の彩奈は香水の心地よい香りが俺を包んでくる。


「そうだな、じゃあ彩奈先に風呂入れよ。俺は夕飯の準備するから。」


「わかった、もちろん今日は、一緒に、寝るんだよね?」


俺の言葉に彩奈は緊張しているらしく途切れ途切れに言葉を紡ぐ。どうしてかいつもと違う彩奈を見つけるたびにどこか喜んでしまう自分がいるように思える。これが恋や独占欲というものなのだろうか?


「まぁ、彩奈が嫌じゃなければ一緒に寝ても構わないけど。」


「わかったわよ、じゃあお風呂行ってくる。」


そう言って彩奈はアメニティセットと着替えをもってバスルームの方に向かっていった。俺も食材をもってキッチンに立つ。今日のメニューはもうすぐ秋ということにちなんでエリンギを使った料理を作る予定だ。まずは主菜の肉から仕込みをする。今日はひき肉を使って彩奈の好物のハンバーグを作る。まずはエリンギを割いてフライパンの中に入れて火をつけて油を入れクタッとなるまで炒める。そしてその片隅でハンバーグ用の玉ねぎを刻んでボウルに移す。ここで炒めたエリンギをフライパンの端に寄せて豆腐を空いたスペースに入れる。ここで砂糖と酒を入れてアルコールを飛ばす。その間に牛乳、パン粉卵などもろもろをボウルに入れてこねて形を整えてフライパンでじっくりと焼く。最後にエリンギのアルコールが飛んだら油を溶かして醤油などを調合したたれをフライパンに入れて味付けをすれば完成だ。料理が完成したころ丁度よく彩奈が風呂から上がってきた。しかし俺は彩奈の服装に動揺を隠せなかった。そう、彩奈は上下ピンク色のもこもこの寝巻でめっちゃ可愛いからだ。もう襲うなって言う方が無茶だと思えてきてしまう。


「可愛いな、今の彩奈は。寝巻、似合ってるよ。」


「ありがと、京介のために可愛くしたんだからね。」


彩奈はそう言うとキッチンの方に向かって冷蔵庫から炭酸水を取り出した。こんなことを言うと少しキモいかもしれないが彩奈はよく部活終わりとか仕事終わりによく炭酸水を飲んでいる。詳しい理由は本人から聞いたわけではないが気持ちをリフレッシュするためらしい。


「料理、美味しそうだね。楽しみだな、私京介の料理大好きだからさ。」


「じゃあ食べようか。」


僕らは席について夕食を口にする。


「このエリンギのすき焼き凄くおいしいよ!」


彩奈は笑顔ですき焼きをパクパクと口に運ぶ。


「ありがとな、そう言ってもらえると自信がつくからうれしいよ。」


「やっぱり京介ってスペック高いよね。料理とか家事全般できるし愛嬌いいし、ぶっちゃけ大学でも結構京介人気だったんだからね。」


彩奈の思わぬ言葉に思わず声が出る。


「えっ?そうなの?」


「そうだよ、私がずっと京介にくっついてたから誰も寄り付かなかっただけで本当はアンタモテモテなんだからね。」


彩奈の言葉に半分報われてがもう半分はちょっぴり悲しく思えてくる。なぜならさっき彩奈が言ったことが本当なら別の世界線では俺がモテていたということでもある。その世界線を体験したかった自分が心の中で叫ぶ。


「そっか、なら俺も努力して正解だったな。俺が誰のために努力したのか今夜教えてやるからさ。」


「それっていやらしい意味で?」


「お前が嫌じゃないんなら、いいけど。」


彩奈の言葉に少し心が揺れる。あの学年や学校で常に人気だった彩奈とスることを少し躊躇ってしまう。


「私は、良いけど。だってもう京介は知ってるでしょ。私がアンタのために、その、初めてを残してたのを。」


恥ずかしそうに彩奈はそう言う。確かに先月師匠と話していた時にそんなことを彩奈が言っていた。


「本当に俺でいいのか?」


「もちろん、あなたのために守ってきたんだから。」


 俺と彩奈は早めに夕飯を食べ終わり、テラスでシャンパンを飲んでいた。


「このシャンパンだいぶ甘いわね。」


「だろ、実は遥から彩奈の好みのお酒の味聞いといたんだよ。」


「どうりで私の好きな味なわけね。」


彩奈の横顔が月明かりに淡く照らされる。本当に肌が透き通っているように白い。そして彩奈が俺の視線に気づいたのかこちらを向いて言う。


「もしかして、惚れちゃった?」


彼女はいたずらっ子のように目を細めて俺を見つめる。一気に顔が熱くなる。正直俺の心の中の何かが千切れそうになる。だがここで俺が負けるわけにはいかない。


「そんなわけないだろ、考えすぎだ。」


そう言って俺が部屋に戻ろうとすると彩奈が俺のTシャツを引っ張って言った。


「じゃあ、あんたのこと、抱き枕として使っていい?」


小声で彩奈が俺の耳元でささやく。俺は頷いて部屋に戻った。そこから先は朝まで彩奈に抱きしめられて暑苦しかったことしか記憶に残っていなかった。



大幅に作品投稿遅れてすみませんでした!!!

最近予定立て込んでてなかなか編集まで手が回りませんでした!!

申し訳ございません!

7月後半には他作品もじゃんじゃん投稿予定なのでお楽しみに!!!!


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