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ウザかった幼馴染の女医が最近可愛くなった  作者: 国北弘樹
第1章 多重衝突事故の患者を救命せよ!
2/9

流れ星に想いを賭けて

 流れ星に想いを賭けて


 京介side


 カルテを書き終わり、彩奈を呼びにと医局を出ると、扉の横に彩奈が寄りかかっていた。

「遅いよ。集合時間3分過ぎてる。」

「悪かった。じゃあ行くか?」確認すると彩奈は俺の腕に引っ付いてきた。「じゃあ出発!」2人で病院の職員用駐車場に向かう。駐車場の端に愛車のベイサイドブルーのスカイラインER34が見えてくる。僕らは車のトランクを開けて僕はリュックを、彩奈はキャリーケースを積み込んだ。お互い車のサイドドアを開いて俺は運転席に、彩奈は助手席に座る。エンジンをかけて首都高の初台南ICを目指す。

「今日の交通事故で運ばれてきた子、大丈夫そう?」彩奈が問う。

「まぁ俺が初期診療した時も赤タグだったけど内蔵損傷もなく骨折ぐらいだから全然大丈夫だよ。ただ、心的ショックはかなり大きいだろうな。」俺はすぐに答えた。「わかった。じゃあカウンセリングは任せてね。主治医は健太郎くんだし良い治療ができると思うよ。」車が初台南IC前の信号で止まる。

「あのさ京介って、好きな人いるの?」彩奈が少し顔を背けて言う。

「いきなりどうしたんだよ。まぁ今はいないよ。」俺は少し心に疑問と不安がよぎる。「そうなんだ。」彩奈が言うと同時に信号が青に変わって俺はアクセルを踏む。初台南ICから大橋JCTを経由して首都高3号線、そのまま東京ICから東名高速に入って厚木ICから小田原厚木道路を通って早川まで抜ける。

 約1時間走り続けて西湘バイパスの石橋ICを出て一般道に出る。

「着いたね、なんか久しぶりだね。2人で別荘行くなんて。」確かに彩奈と2人で俺の別荘に行くのは本当に久々のことだった。

 真鶴の別荘に着いて俺が夕食を作ろうとした時に彩奈が言った。

「お風呂入ってきていい?」彩奈のセリフに少し胸がざわめく。

「いいぞ。夕食作ってるから入ってこい。」俺が話し終わると彩奈はタオルを持って脱衣所の方へと走っていった。この別荘は俺が友人の建築家と相談しながら設計して建てたもので、風呂からは海が望めるように腰より上の部分をガラスにしてある。ちなみに外から見えないように曇りフィルムを貼り付けてある。俺は夕飯の豚肉をグリルに入れて一旦休憩する。キッチンはオープンタイプでリビングと一体化していて、リビングの横の大きな出窓からは相模湾を一望できる。「京介、上がったよ。」俺が彩奈の声がした方向に目を向けるとそこにはバスタオル一枚の彩奈が立っていた。俺は思わず声を上げてしまった。

「何やってんだよ、早く服着ろよ。」俺が慌ててそう言うと彩奈はにやけながら言った。

「あれれぇ〜?私には恋愛感情抱かないはずだよね?」俺は平然を装って言った。

「確かに俺は恋愛感情は抱かないと言ったが、俺だって男だ。最低限の服装でいてくれないと困る。」俺は顔を彩奈から背けながら夕飯の豚肉をグリルから取り出す。

「やっぱり興奮しちゃう?私のこの体に。」俺は呆れたので彩奈の肩に軽く手を触れさせた。すると彩奈は猫のように体をビクつかせた。顔もほんのり紅く染まっていた。

「お前こそ幼馴染の男に肩を触られただけでこんな体ビクつかせるのか?」俺がそう言い放つと彩奈は真っ赤な顔を俺に向けて言った。

「それは、反則だよ。」彩奈のその濡れたような声に俺は心臓を射抜かれたような衝撃を受ける。この感情を自分でもなんて表せば良いのか正直わからない。彩奈が続けた。

「引っかかったな!京介顔真っ赤だよ。絶対恋に落ちないって言ったのは誰だっけ〜?」調子に乗っている彩奈に凄くイラついたが呼吸を整えて無視して夕飯の準備をする。すぐにテーブルに皿を並べてあらかじめ豚を焼く前に煮込んでおいたパスタ用のトマトソースを準備してその隣でパスタを茹でていると彩奈が声をかけてきた。

「何か手伝うことある?」俺はすぐに答えた。不意に彩菜の方を向くと、彼女は淡い水色のパーカーと短パンを着込んでいた。その姿に少し惚れ込んでしまう。

(だが決して『俺』として惚れたのではなく『男』として見入ってしまっただけだ!いや、これだいぶキモくね?)

「じゃあそこにあるレタスとトマトときゅうりでサラダ作れるか?」俺はキッチンに置いてある野菜たちを指さした。

「わかった!任せてね!」二つ返事で彩奈はサラダを作り始めた。少し彩奈の方を見る。陶器のように白い手は中学校の頃から変わらないと思った。彩奈は中学の頃は文芸部に所属していていつも小説を書いていた。その頃から告白してくる男子は大勢いたが彩奈はこう言って断っていたらしい。「私にはただ1人好きな人がいる。その人はみんなを見る目と同じ目で私のことを見てくれて気遣いができる人だ。」と、一体その人は誰かを彩奈は俺や他の人にも言ったことがないらしい。この話については遥が言っていた。

「それにしても京介は料理よくできるよね。」そう言いながら彩奈は俺の肩に寄りかかってきた。彩奈は身長が167cm、俺の身長が182cmだから彩奈の頭のてっぺんが丁度鼻の辺りにぶつかる。微かに彩奈の吐息が俺の胸元に当たる。俺は意識を逸らしてパスタをお湯から揚げてソースと和える。

「ありがとな、じゃあ夕飯食うか。」彩奈が作ったサラダとパスタを机の上に並べる。

 夕飯を食べて俺は出窓を開けてテラスに出ると頭上には満天の星空が広がっていた。後ろからちょこちょこと彩奈がついてきた。

「凄い綺麗だね、星空。」彩奈は夜空を見上げながら言った。不意に彩奈の目を見ると、星空が目に反射して輝いていた。その瞳はとても綺麗だ。

「そうだな、あの、彩奈も綺麗だよ。」そう言うと彩奈は顔を手で覆って隠した。正直俺もこの言葉言うのめっちゃ恥ずかしかったし。そしてテラスの椅子に座ると彩奈が言った。

「そういうところ、なんでも言えちゃうところがムカつくの!」彩奈は俺の肩に寄りかかって星空を眺めていた。俺も空を見上げた。すると頭上を流れ星が通り過ぎていった。

「今夜は離さないから。」そう一言彩奈は口にして俺の腕に頬擦りをしてきた。



 腕時計を見ると針は午後9時を指していた。

「私は京介がいい、だから私のものになってほしい。」不意に彩奈はそう言った。

(ちょっと待てよ!!!!今あいつなんて言った?じゃあ俺らは両想いってことか!)俺は1人悶々とする感情を抑えて彩奈を抱き上げた。

「じゃあベッド行くぞ、俺も彩奈となら良いよ。」抱き上げた彩奈を俺はベッドにそっと下ろす。もうこれだけで脳が焼き尽きそうだ。俺がワインを取りにリビングに戻ろうとすると彩奈はベッドをそっと叩いて言った。

「一緒に寝ようよ、私寂しい。」

(ここは平常心を保つんだ!今コイツを襲ったらどうなることか、だから添い寝までだ!)俺は心を鬼にして彩奈に言う。

「わかった、隣にいてやるからな。」俺は彩奈の隣に寝転ぶ。彼女の顔を見ると艶のある唇が仄かに輝いている。

「可愛すぎるんだよ、お前は。」気づいたらこんな言葉を溢していた。本当に彩奈は無防備すぎて困る。そんなことを考えているうちに眠気に敗北して俺は眠りについた。

 今回の話はどうでしたか?

次回は彩奈さんと京介の素顔が見れるかも???


次回の更新は1月8日の18:00頃を予定してます。

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