鉄翼を持つ死神
投稿めっちゃ遅れました。
こんな感じに気が向いたら投稿します。
「…ふむ、どうなってんだ?」
一度殺されたはずだ。俺を殺したことでその出来事だけを記憶する。そして、クリスみたいに俺を殺さなくなるってカラクリになってるんじゃないのか?
「…おい新入り、どっからきた?」
クリスだ。今回はセリフが変わってると思う。それより、何で俺を殺せないのかだけ調べないとな。
「クリス、俺を殺してみろ」
「は?何言ってんだ?…まぁいい、話の通じない奴はお望み通り殺してやるよ!」
意気揚々と声を荒げながら、俺の首を触れる。いつも通りの行動だ。スピードはあるがどこを狙っているのかわかれば避けれると思うが、大人しく触れさせる。じゃないと確認にならないからな。
「…うっ…な、なんだ?私はお前を殺したことがある?」
んー、デジャヴ。この光景三度目だぞ?でも、一回きりってことじゃないってことだな。この縛りは。ありがたい、これをどうにかして死神に植え付けることができたなら、まだチャンスはあるな。
「俺は…クリスに殺されるまで何をした?」
何もしていないはずだ。いや、会話だけはした。それもたった一分も待たなかったが。もしこの能力のトリガーが会話にあるとするならば、一つの結論がでる。俺の名前を知っているかどうかってことじゃないのか?何回かは話したことのあるやつに殺されている。しかし、その中でクリスだけ俺の名前を知っていた。そして、クリスの時だけリスポーンが変更された。
「…ふっははっ…わかったぞ、トリガーは『名前』だ。たったそれだけじゃないか」
「おい、何で私はお前を殺せない?」
クリスが質問を投げかけてくるが、それはどうでもいい。今は死神に俺の名を植え付けることが最重要案件だ。
「しらねぇよ。俺もわかってないんだから」
「…はぁ?今わかったって言って…」
「今は忙しいから、後でな!」
俺は飛び出した。こんなにも気分が上がっているのは小学校以来か?あの時の無邪気に鬼ごっこをしていた頃を思い出す。今さっきまで恐ろしかった死神の巣が、もう宝箱のように抗いがたい魅力が溢れ出ているようで、俺はクソに集まる小蝿のように急ぐ。
「死神!俺の名前は斉藤佑樹だ!」
扉の前に着いた瞬間名を叫ぶ。こんなにも死が待ち遠しいことがあるだろうか?多分俺が初めての人間だろう。死を恐れずむしろ迎え入れる人間は。
いつものように首を飛ばしてくるはずと、構えていると首ではなく俺の足が体から離れた。
「え?」
やばい、何かが変わった?
「何を企んでいる」
俺が背中が地についたダンゴムシのようになるとともに声が聞こえる。女の声、死神だ。
「何を企んでいると聞いている!」
「グァ…あぁぁ!」
急に足中に異物が入ってきて、俺の足をズタズタにしようとしているようだ。ひどくいたむ。ふと足をみると、足の切り口には銀色の金属のようなものがくっついていた。
「痛いだろう?さっさといえ。そしたらひと思いに殺してやる」
激痛だ。まともに頭が動かない。
「…何もない…」
女の顔は見えない。しかし声色を聞く限り、このような拷問をするのに慣れていそうだ。
「何もないってのはおかしいだろ?何で名乗る必要がある?それは何かの能力のトリガーなんだろ?」
バレてる。それもそうかあんなふうに名乗ったら怪しいと思うか。
「…いや、おかしくないさ。俺の地元じゃあ戦う前に名乗るのが礼儀だから」
何となく、能力のことを話さない方がいい気がする。もしバレたら、死なないように動けないようにされるかもしれない。
「へぇ?そんな礼儀聞いたことないけど?」
「俺は異界から来たからな…知らなくて当然だ」
「異界から…そうか」
何か雰囲気が変わったな。
「それなら、私のこと知ってるかも。『鉄翼』ってしってる?」
「『鉄翼』?わからない…なんかアニメとかか?」
何だ?もしかして、俺と違う世界から来たパターンか?
「アニメ?まぁいい。お前、もしかして私と違う場所から来たな?」
「…そうかもな」
死神は淡々と言い放つ。
「別に答えなくてもいい。どうせ調べればわかる」
そういい、俺の体に触れた。その瞬間体が違和感を覚えた。体が組み変わっているような感じで、違和感が吐き気と頭痛を呼び起こす。
「…なるほど、構成式は持ってないみたいだな。やはり異界は異界でも別のところからだったか」
「構成式?」
「気にしなくていい、私の世界の力だ」
私の世界の力だぁ?こいつは召喚されるより前から能力を持ってたってことか?マジかぁ、地球人不利すぎだろ。
「さて、私が求める回答は『異界人がどうか』と『なぜ名乗ったかだ』それ以外を言ったらどうなるか、教えなくてもわかるだろ?」
「はは…」
ここはイカれてる奴しかいないのか…それとも、この場所がそうさせるのか。正直どうでもいいことが頭に浮かぶ。やばいわ、現実逃避が止まんねぇ…