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異界仲間に助けを求めて


 「マズイなぁ…全然実感ないけど」


 これまでの生活からかけ離れすぎたここ、タルタロス監獄での出来事を正常に理解することができない。テレビで見たらしてたスラムってこんな感じなのかなぁ?ぐらいしか頭に浮かばない。


 「はぁ…どうしたらここで静かに暮らせるんだ?」


 俺は途方に暮れていた。ちなみにクリスに守ってもらったらいいと思うだろうが、クリスが欲しがるようなものが俺にはなかった。肉体労働とかは俺より優れたいやつなんて山ほどいるし、知識なんてあってもここじゃ使い物にならない。さらに頭が切れるわけじゃない。そんなわけでクリスの助けは期待できないわけだ。


 「うるさい、佑樹」


 したからクリスの文句が飛んでくる。クリス曰くこの部屋にいる間は何も起こらないらしい。何でもクリスはここでご飯の指に入るぐらい強いからだそうだ。首掴むだけで人殺せる力なんてそうそうないだろうから、そりゃそうだと納得した。クリスがいる間だけこの部屋はセーフティーゾーンだ。クリスは俺を守らないけど、俺を殺さないからギリギリ俺は安全を手に入れている。


 それにしてもどうしよう。知り合いなんてもんはいないし、同郷のやつなんかいるわけがない。


 まてよ、そういえば異界から来た奴がいるとか言ってたような…ワンチャン助けてくれるんじゃね?異界仲間ってことで。よし、すぐ行動に移そう。俺が死ぬ前に話してみないとな。


 「クリス、異界出身ってどこにいるの?」


 「あれ?私その話したっけ?」


 「まぁいいから、教えてよ」


 「んー、気になるけどいいか。異界出身は死神だけだな。そいつなら部屋出て左行ってりゃ会えるよ」


 「死神?」


 「誰もそいつの名前知らないからそう呼ばれてる。ここに来た初日に五人を殺したらしい、その中には当時一番強い奴がいたらしいぜ」


 一気に行きたくなくなってきたな。俺殺されるんじゃね?


 「もしかして、お前も異界出身だからって助けてもらえると思ったのか?」


 「ワンチャンあるだろ?」


 クリスは大声で笑い出した。


 「あははっ、マジでおめでたい頭してんなぁ。死神は今のトップだぜ?お前みたいな雑魚相手にするかよ」


 まぁ、クリスの言う通りではある。しかしだ。異界出身のやつには一度会っておきたかったから、行くべきなのだ。俺の中で一つの仮説がある。異界は地球以外も含んだ総称で、地球以外からやってきた知的生命体がいるかもしれないと言う仮説だ。もしそうなら、その死神とやらも俺には興味を示すだろう。力があると言うことは余裕を持っていると言うことでもある。なら、異界の知識を欲することもないことはないはずだ。武の悪い賭けではあるがな。


 「一回行ってみてから考えるわ」


 俺の言葉を聞いてクリスはキョトンとした顔をした。


 「…やっぱりお前はなんかおかしいよな。ちょっとイカれてる。ほっとしてるよ。お前に力が無かったことに」


 イカれてるとは結構な過大評価だ。俺は何でもするだけ死にたくないだけそれだけだ。


 十分ぐらい歩いただろうか、ずっと左に向かって進み続けた。すると行き止まりで、そこには一つの部屋があった。おそらくここに死神がいるのだろう。


 「死神とやらはいるか?」


 俺は扉をノックしながら言う。その刹那、視界がスライドした。何度も経験したことがある異変だ。理解するのに時間は必要なかった。自分の首が切られたことを理解するのに。


 話す気すらないとは、困ったな。ここにきてから二回目の死に戻りどうなるか…


 「はっ!はっ!はぁはぁ…ふぅ…」


 戻ってきたここはクリスの部屋の中だな。召喚の時までは戻りそうにないな。そしていつ頃に戻ってきたんだ?


 「おい、新入り…お前薬中か?」


 「…デジャブってやつか」


 「あ?おい、新入り!」


 俺は部屋から飛び出した。死神に会うために。自分の力を知るために。


 何度も死を経験するうちに、落ち着く能力が上がってきたような気がする。自分の命ではないような、まるでゲームのように感じる。今回の命を守るために前回の命を使う。そんな感じだ。


 走って行ったからか、思ったより早く死神の部屋の前に着いた。もし死神にも俺を殺した記憶があるなら何とかなるだろうが、どうだろうか?


 「死神がここにいると聞いたんだが」


 前回と同じようにノックすると同時にしゃがみ込む。前みたいに首を刎ねてくるかもしれないからな。


 「しゃがんでも意味ない」


 「えっ?」


 スパッと俺の首はまた飛んだ。声の主はおそらく死神だろう。女の声だ。クソ…何が何だかわかんねぇよ。あ…意識が…

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