表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木漏れ日の下で婚約破棄を希う  作者: 天満月 六花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/41

ー殿下からの提案ー


 オズウェル第二王子殿下からの呼び出しがかかった。


 エルヴィス殿下も奔走してくれているが、昨日の今日だ。まだ結果が出る訳はない。恐らくそれも見越しての呼び出しだろう。


 重々しく感じるオズウェル第二王子殿下の執務室の扉の前へ行き、護衛の騎士に名を告げる。


「オズウェル第二王子殿下、ディオン・ユーフィリウム様が参られました」


「ああ、通してくれ」


 少し開いた扉から聞こえてくる声は、相も変わらず冷たい。


「……失礼致します」


 苦々しく思いながら頭を下げ入室する。


「さて……ディオン・ユーフィリウム。考えは変わったか?」


「…………」


 頭を下げたままオズウェル第二王子殿下の声を聞く。その問いに、歯を食い縛りそうになった。


「まだ変わらないか。……エルヴィスが動いているようだが、それでどうにかなると思っているのか?」


「…………」


 どうにかなると思えれば、どれ程よかったのだろう。

 フィーリアがこうしている間にも危険に晒されていると考えれば、心の奥が抜け落ちたような底なしの不安に襲われる。

 俺は今、その不安を必死に誤魔化しながらこの場に立っているだけだ。


「いい加減顔を上げろ。どんな顔をしていても不敬にはとらないでいてやる」


 その言葉に俺はやっと下げていた頭を上げる。


「はは、いいなその表情。心の底から憎い者を見る目だ」


 殿下の後ろに控えていた護衛が剣に手を掛けるのが見えた。それ程敵意があると判断されたのだろう。


「よい。これは私が招いた事だからな」


 後ろの護衛にそう告げる。護衛もすぐに剣から手を離した。無表情の護衛からも、感情は読み取れない。


 一体どういうつもりなのか。憎まれていたいとでも言うつもりなのか……俺にはオズウェル第二王子殿下の考えがわからない。


「ここからは提案だ、ディオン・ユーフィリウム」


 上等な椅子に凭れながら、酷薄な笑みを浮かべてオズウェル第二王子殿下は言った。


「アデラインと婚約すれば、あの申請は取り下げてやる」


「!!」


 息を呑んだ。

 何を考えてそのような事を言うのかわからない。


「期限は三日だ。三日後に開催される夜会で発表する。それまでに決めろ。それ以外の条件で取り下げるつもりはない」


「何故ですか!?このような事……御自身がどうなるかわかっているのですか!?」


 貴族の婚約は国王陛下の許可が下りて結ばれている。

 国王陛下の許可がある婚約を勝手に取り止めさせるのは、国王陛下への背信行為も同然だ。


 それを王太子補佐で優秀だと言われているオズウェル第二王子殿下が理解していないとは思えなかった。


「……私には私の考えがある。だが、それは君などに言う事ではない」


 そう言った薄い笑みからも、オズウェル第二王子殿下の感情は読み取れない。


 後ろの護衛がその言葉に伏せた目が、哀しみを含んでいたような気がした。


「ディオン・ユーフィリウム、話は終わりだ。下がれ」


 冷めた声に頭を下げる。


「三日後を楽しみにしている」


 その言葉に言い様のない暗い気持ちが湧き上がったが、歯を食い縛りながら必死に堪えて部屋から退出した。


 オズウェル第二王子殿下の執務室の重厚な扉が、重々しい音を立てて閉まった。



読んで頂きありがとうございます。

更新がかなり遅くなってしまい申し訳ありません。

続きを書いていくのに四苦八苦していたのと、体調を崩してしまったのが重なって遅くなりました......。


これからは毎週金曜日に更新していきたいと思います。

これからも読んでもらえると嬉しいです。

よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ